【MS.SP】短編集2 (ページ4)

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Like Jupiter【Ｋ】-４ページ4

「⋯⋯え。⋯⋯まぁ、俺が木星だとしてさ。俺がA見つけてから、もう6ヶ月経ったよ？」
6ヶ月経ったという事を覚えていてくれたのはとても嬉しいものが、今のAに余裕はない。
日頃から思っていた事を、話し始める。
「私、輝きが凄く小さかったの。どうしようもない位に、周りの光に負けて。努力しても、現状打破なんて出来なくてさ。本当にどうしようもない状況で。
⋯⋯でも、そんな時に、きっくんがね、引き立ててくれて」

『なーに縮こまってんだよー！ほれ、行こうぜ！』

「カッコイイ背中だな、眩しい人だな、って、思ったの。
だから、その⋯⋯付き合えた事、その関係が半年も続いている事が、とてつもなく嬉しくて。
⋯⋯けど、なんでこんなカッコイイ人が、私を選んでくれたのか、分かんないの」
いつの間にか、Aの目には涙が溜まっていた。ポトリと零れ落ちたそれを親指で拭い、はぁときっくんがため息をついた。

「そんな事ね」
「そんな事って⋯⋯私、ずっと考えてたんだけど」
「ホント、Aは縮こまり過ぎなんだよ。Aは謙虚だけど、謙虚過ぎると自分の行動範囲とか、出来る事とか。狭めちゃう一方だよ？」
起きて、と促される。この格好で相対するのは恥ずかしいので、とりあえずくるまっていた布団を肩にかけた。
するりと右頬を撫でられ、その左手が固定される。
深いキスを少しだけ交わした後、きっくんは「俺はね」と口角を上げる。
「俺は、A〝なんか〟を好きになったんじゃない。A〝だから〟、好きになったの」
「⋯⋯私、だから？」
「うん。よくAって、『私なんか』って使うよね。でも、Aだからこそ、出来る事だってあるんだよ。現に俺は、Aに何回も元気もらったし、助けられた」
「え、元気もらって助けられてるのはむしろこっち⋯⋯」
「あーもー！」
眼前いっぱいにきっくんの顔が広がったと思ったら、またキスをされていた。舌で唇を舐められ、ピクリと反応したと同時に舌が侵入してくる。
さっき肩にかけた布団はいつの間にやらずり落ていたが、Aは気づかない。

「どこまでも謙虚で控えめで、優柔不断なAちゃんに、言う事があります！」
浅い呼吸を繰り返すAに、きっくんが声高らかに言う。息を整えるのに必死なAは、間抜けな声を出した。
「え⋯⋯優柔不断要素あった⋯⋯？」
「良いから聞く!!」
「ｱｯﾊｲ」