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徒波【E】-1 ページ26

ぐるぐると掻き乱される心の中を、必死で抑える。ダメ、ここで泣いちゃダメ。

Aとえおえおは、あろまとその彼女である女性とダブルデートをしている。
Aが泣きそうになった原因は、「昼時だし飯行くか」と、レストランに入ってからの事だ。
あろまと彼女はそれぞれ椅子に座り、えおえおとAはその向かいのソファに座った。ソファはA達の隣にもまだ続くタイプである。

『ねーねー、Aは何食べるの?』
『んー、どうしよっかな。詩穂は?』
『私はオムライスかなー』
『あ、それ美味そ。後で1口くれ』
『ふふ、良いよ』

__隣同士に座れたし、美味しい物も食べれる。ダブルデートは不安だったけど、楽しい思い出になりそう。
そんな事を考えながら、Aはふふふと微笑んだ。


だが、今。
えおえおは、あろまやあろまの彼女と話に興じている。Aに見向きもしない。大層楽しそうな笑声をあげながら、時折詩穂の名前を呼んで。
「あははっ、それで?」
「それでさ、あろまとFBが急に落ちるもんだから、俺も『ええええ⋯⋯』ってなって」
「あれはアイツが悪かったんだべや!」
「でもあろまだってめっちゃふざけてたじゃん?」
「へー。っふふ、あの時から3人って仲良かったんだね。私、えおえおの存在しか認識してなかったなぁ」
更に泣きそうになる要素があった。詩穂は、えおえおとあろまの同級生なのだ。Aが知らないえおえおを知っている、という事である。
高校が違った事は仕方ない。その事実をひけらかされるのが嫌なのである。3人がこれだけ楽しそうに話しているのを目の前で見せられているのならば、尚更。

「⋯⋯、」
メロンソーダをゴクリと飲み、微かな溜息をつく。半分ほど残っているハンバーグを、一切れ口に含んだ。
「そう言えば、あろまは詩穂の事どう思ってたの?」
「生意気なチビだなって」
「あー、また身長を弄る!あろまだってえおえおに比べたらチビのくせに!」
「は?それはコイツと比べたらだろ。お前のがちっさいし」
えおえおも詩穂も、互いの事を呼び捨てにしている。えおえおとAは、互いの事を「えおえおくん」「Aちゃん」と呼び合うというのに。

4分の1程しか減っていない彼らの料理を見据える。Aの料理はもう、4分の1も残っていなかった。
「⋯⋯っ」
心がゴリゴリと削られていく。そんな気持ちさえ抱いた。

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作者名:玉ねぎプリン | 作成日時:2018年8月5日 21時

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