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「ラク」
『！兄さん、将臣くん…あれ？』
横断幕の最後の紐を結んでいると、聞き馴染んだ声が鷹石の鼓膜を揺らした。
ちょうど結び終わった紐から手を離し、顔を上げれば予想外の彼が兄と肩を並べて歩いて来る。
『将臣くん、今日2回戦からじゃなかった？授業あるんでしょ？』
「サボった」
『……』
悪びれる様子もなくブイサイン片手にそう宣った彼に呆れる鷹石。
そんな彼女を気にするふうもなく、将臣は目下の横断幕を覗き込んで「うわ、カッケーこの横断幕」と笑みを浮かべている。
時折こうやって自分の欲を優先させる彼には慣れてはいるものの、真面目が性根の鷹石はどうにも良い気はしなかった。
「あ！大道さーん！！」
「お、あの子か？ラクの彼氏」
『だから彼氏じゃねぇっつの…』
ブンブンと大道へ向かって腕を振る日向を見下ろしてニヤニヤと鷹石を横目に見遣る将臣へ、彼女はため息混じりに何回目かの否定を口にする。
その隣で大道はクスクスと笑みを浮かべながら日向へ手を振り返していた。
「照れるなよ〜」
『うぜぇ…！』
顔をしかめっ面へ変えて将臣を横目に見遣ったその時、彼の背後から見知った顔が覗いた。
鷹石はすぐさま居住まいを正して先頭を歩く男へ挨拶と共に頭を下げる。
「やぁ」と片手を上げて軽く笑みを浮かべる男へ、将臣と大道も「こんにちは」と笑みを浮かべた。
「あ！らっきょヘッド！」
『(らっきょ…？)』
「ブッフ」
「？らっきょヘッドってなんだ？」
「お前以外に誰がいる」
「は？！」
男の後に続き隣を横切った2人の部員のやり取りに、鷹石は『(あのバカ、また変なあだ名付けやがって)』と内心で呆れと、日向にあだ名を付けられた少年への申し訳なさが生まれる。
傍らで静かに肩を揺らす将臣の脇腹へ肘を突き刺して、鷹石は小さく溜息を吐き出した。
「やっほー」
『！』
「大王様！」
「飛雄ちゃんチビちゃん、元気に変人コンビやってるー？」
脇腹を押さえて身を丸める将臣の背後に立つ2人に気付き、鷹石はその内の1人へ挨拶と共に頭を下げる。
「おう」と鷹石へ向けて片手を上げた少年―岩泉一は、そのまま烏野を見下ろす少年のピースサインを叩き落とした。
「痛いよ岩ちゃん…」と自身の手の甲を擦る少年―及川徹は、鷹石を視界に収めると忽ちその端正な顔に笑みを浮かべた。
「久しぶり、楽乃ちゃん」
『こんにちは。お久しぶりです、及川さん』
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紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2月20日 23時) (
レス) @page27 id: 147f4e35b6 (このIDを非表示/違反報告)
シャノ(プロフ) - ひゃー！続編おめでとうございます！！ソーカ先生の作品大好きです！これからも頑張ってください！ (2020年6月1日 19時) (レス) id: b2bfb3614c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソーカ | 作成日時：2020年6月1日 14時
