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「!おい鷹石、お前日向の緊張どうにか出来ねぇのか」
『え、どうにかって…』
サポーター片手に近づく鷹石に気付くと、影山は苦い表情から一転、いつもの仏頂面で彼女の足を止めさせる。
影山のアバウトな問い掛けとは言えない暗に命令のような物言いから、鷹石は静かに視線をそこへ向けた。
一瞬『コイツ"翔陽のあれこれ=私"みたいな方程式勝手に組み立ててんじゃ…?』と彼女が内心で疑ったのは余談である。
ちなみに、影山が「日向のことなら大概鷹石に任せておけば大丈夫だろ」と正にそう思っていることは余談の余談で、部員の大体もそう思っていることを当の本人は知る由もない。
『緊張してない奴から何か言われたって、あんまり効果ないと思うけど…』
「?とりあえず何か気の利いた事でも言えよ」
『……お前からそんなこと言われるとは思わなかったわ…』
「あ?」
軽く感動と驚きなどが混ざったのような、そんな不思議な感情を抱きつつ、鷹石はサポーター片手に正座待機の日向へ歩み寄った。
『翔陽』
「!!お、おうっ」
ビシッと背筋を伸ばした日向の前でしゃがみ、とりあえず『はいコレ』とサポーターを手渡す。
礼を言って受け取った彼の表情はまだ硬い。
小心者の緊張を緩和しにやって来た事を察した西谷と田中、菅原は、影山と同じく2人のやり取りを静観する。
彼らの視線を背中に受け、鷹石は優しく目の前の癖毛に手を置いて『あー』と口火を切った。
『まぁ、そんな緊張すんなよ。お前はこの中で最底辺の実力なんだから、何やらかしても大丈夫だ。誰も驚きゃしねぇ。何なら今日出場する全選手の誰よりもド下手くそだと思ってい「うおおおいストップ鷹石さん!!」!?』
ガッと勢い良く鷹石の肩を掴んで止めさせた菅原。
突然の衝撃と物凄い焦りようの彼に、鷹石は思わずギョッとする。
その傍らで、暗い影を背負った日向の目は正に死人の体をなしているが、残念ながら彼女がそれに気付くことはなかった。
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紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2月20日 23時) (レス) @page27 id: 147f4e35b6 (このIDを非表示/違反報告)
シャノ(プロフ) - ひゃー!続編おめでとうございます!!ソーカ先生の作品大好きです!これからも頑張ってください! (2020年6月1日 19時) (レス) id: b2bfb3614c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソーカ | 作成日時:2020年6月1日 14時