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「清水っ…!!こんなのハジメテッ」
「「…っ…!…っ!!……!!!」」
一体全体何事だと見下ろせば、そこにはダバダバと涙を流す2,3年生の面々が。
澤村さんを皮切りに、大口を開けてオロオロと無言で泣き散らかす彼らの予想だにしなかった反応に、翔陽達も呆然としている。
『……こういうのが、普通なのかな…』
そんな彼らを見下ろしながらふと口から零れ出た言葉は、泣き叫ぶ声に掻き消える。
自分の所属するチームのはずが、どこか他人事のように思ってしまうのは、きっと私だけ"何か"が違っているからだ。
「一回戦!!絶対勝つぞ!!!」
泣きながら叫ぶ澤村さんに続いた雄叫びが、館内に轟くのを感じながらギャラリーを後にした。
「ラク」
『?なに』
「……お前はないんですか」
『は?』
ギャラリーから降りて館内に足を踏み入れると、翔陽からなんとも言えない視線が寄越される。
主語のない言葉とどこか物欲しそうなぶすくれた表情を前に、まさかと涙を拭う彼らを一瞥する。
まさかコイツ、私にも清水さんと同じようなことをしろってか。
『ねーよ』
「!!?」
『え』
ガーンッと効果音の付きそうな顔であんぐりと口を開けて、これでもかとショックを顕にする翔陽に、此方もさすがに罪悪感を抱いてしまう。
「「……」」
「……」
『えぇっ?』
どうしたものかと頭を悩ませていると、いつの間にか翔陽の後ろから西谷さんと田中さんが、射抜かんばかりの期待を乗せて此方を凝視していて。
次第には部員全員、繋心くんと先生までもが視線を寄越す事態に発展してしまった。
こうなればもうNOとは言えない。
ニヤニヤしながら顎でホレホレと言葉を促す繋心くんの脇腹は後でボコすとして。
『…―このチームの目標は、"全国出場"だと伺っています』
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紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2月20日 23時) (レス) @page27 id: 147f4e35b6 (このIDを非表示/違反報告)
シャノ(プロフ) - ひゃー!続編おめでとうございます!!ソーカ先生の作品大好きです!これからも頑張ってください! (2020年6月1日 19時) (レス) id: b2bfb3614c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソーカ | 作成日時:2020年6月1日 14時