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『…翔陽』
翔陽の部屋に入り、寝息を立てる身体の傍にしゃがむ。
『おーい、さっさと風呂』
―ラクは良いよね…!才能があるんだもんッ―
『……』
伸ばしかけた手が、言いかけた声が、半端に止まる。
―なんでっ!私の方がッアンタなんかよりいっぱい!いっぱい練習してるのにッ!―
『ッ…！』
―鷹石さん―
―鷹石さん!!―
―鷹石―
―楽乃ちゃん―
―ラク!―
響く声に、思わず手を引っ込める。
脳裏に過ぎる"彼ら"は、いつだって優しくて。
笑顔で。
暖かくて。
だからこそ―
―退部してよッ!!お願いだからッ…!―
『――こわい…』
コツリと膝頭に額をつけて、零れ出たのは腹の底のずっと奥。
何度も、何度も、押し殺していた。
弱くて脆い、そんな言葉。
あぁ結局、自分のことしか考えない。
かっこ悪いクソ逃げ野郎。
―楽乃ちゃんが座ってほしい―
そうやって、壊したんだ。
だから…断るのが、正解だ。
なのに――
『ッ…こわいよ…！』
努力の手を握れば、暖かいいつもの体温。
あの子と同じで、不思議と安心できて。
『……』
―ラクちゃん!―
マヌケ顔で寝息を立てる翔陽に、溜まりそうになる涙を、静かに息を吐いて引っ込める。
―ラク!―
本当の、バレーボールだ。
やっと、チームメイトにも恵まれた。
指導者も、相棒のような存在も。
全部、やっと。出会えたんだ。
私なんかじゃ到底、代わりにすらなれない彼らに、翔陽はやっと。
『………』
握った手をそのままに、脚を崩して横になる。
無意識に癖毛へと伸びていたもう片手を、何故か躊躇してしまって。
結局、いつものように触れる気にはなれなかった。
『……しょーよー…』
薄く滲んだ視界に堪らず目蓋を下ろす。
お前の居場所を、壊さないように、頑張るから。
お前の言う通り、これからも傍に居るから。
だから翔陽…どうか…
どうか…
お前だけは―
『離れていかないで…』
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紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2月20日 23時) (
レス) @page27 id: 147f4e35b6 (このIDを非表示/違反報告)
シャノ(プロフ) - ひゃー！続編おめでとうございます！！ソーカ先生の作品大好きです！これからも頑張ってください！ (2020年6月1日 19時) (レス) id: b2bfb3614c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソーカ | 作成日時：2020年6月1日 14時
