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「ありがたき幸せ!!」
『えっ』
「家宝に致しまする!!」
『あの、え?』
「お前ら普通に受け取れ!!」
「イイよ鷹石さんほっといて」
ベチーンと縁下さんが田中さんの頭を引っ叩く傍らで木下さんが呆れ顔で「それより」と言葉を続けた。
コートを指差す木下さんに顔をそこへ向けると、未だにボールを持つ影山と翔陽が……て、アレ練習じゃなくてケンカかよ。
用意したドリンクとタオルを勝手に使うようにと、成田さんに続いた月島と山口にも伝えて、転がっていたバレーボールを拾う。
そして今し方影山と両手の押し合いに発展した翔陽の後頭部に狙いを定め、バレーボールをぶん投げた。
「ッテェ!!」と後頭部を押さえて此方へ振り向く翔陽と、驚いた顔を向ける影山に一言。
『休め』
「「ウス」」
素直にベンチへ歩み寄る二人に、呆れから小さな息が零れ出る。
バカ二人のコレは、一体いつになったら治るのか。今のところ見込みはない。
【第16話 距離2】
「鷹石ー、影山起こせ」
『はい』
いつものようにガンッと隣席の椅子を蹴ると、「ンガッ」なんて奇声を発して影山の丸まった背中が跳ねる。
クスクスと教室内に笑いをもたらして、跳ねた背中は又もや規則的な寝息に戻ってしまった。これもいつもの事である。
『寝ました』
「そうか、ありがとな。んじゃ続きするぞー」
チョークが黒板を叩く音と教師の声を聞き流し、クルリと筆記具を指で弄ぶ。
隣の影山は相変わらず全授業爆睡中。
このクラスではもう見慣れた光景と化したようで、こういう時に配られるプリント類は全て隣席の私へ回ってくるようになってしまった。
…うんこ描いてやろ。
『……』
―"思い出作り"なんかさせてんじゃねーよ―
『――うっざ』
小さく音を立てて折れてしまった芯が、床へ飛んで行ったのを尻目に、二回ノックして芯を出す。
が、出てきた途端プリントに落下した短い芯に思わず小さく溜息を吐く。
ペンケースから芯ケースを取り出して、一本だけを抜き取った。
―また"逃げ"か?ラク―
『(何だよ…別に逃げてねーだろ…)ぁ…』
部品を取って芯を入れるも、先端が穴の外に当たって折れる。
―アンタに言われなくても自分が一番分かってるわよ―
―一々余計なお世話しないでくれない?―
『……』
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紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2月20日 23時) (レス) @page27 id: 147f4e35b6 (このIDを非表示/違反報告)
シャノ(プロフ) - ひゃー!続編おめでとうございます!!ソーカ先生の作品大好きです!これからも頑張ってください! (2020年6月1日 19時) (レス) id: b2bfb3614c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソーカ | 作成日時:2020年6月1日 14時