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職場体験。
読んで字のごとく、ヒーローの職場イコール事務所や現場に赴いて、ヒーローという職業を体験する。というもの。
それに伴って、
「コードネーム…ヒーロー名の考案だ」
俺は参加しないが、イレイザーヘッド曰く先に考えておくに越したことはないとのこと。
ミッドナイトから渡されたボードを前に数秒、2文字を書いてペンのキャップを閉めた。
大喜利を梅雨ちゃんが軌道修正したことにより、テンポよく発表されていく彼らのヒーロー名にらしさを感じる。
出久のヒーロー名には少し驚かされたが、良い意味でそれを自ら名乗れるようになったのは、やはり彼が昔より成長したという証拠だ。
「あとは…色瀬くん！できたかしら？」
『はい』
ミッドナイトの促しに従い、教壇に立ってボードを置く。
俺は兄のようなヒーローになる。
これはその決意表明だ。
「"ソラ"？」
「……」
『うん』
「どうしてその名前に？」
前に座る尾白の声に頷いて、ミッドナイトの問いかけに用意していた言葉を口にする。
『この名前は、俺の兄の名前です。兄のようなヒーローになるのが、俺の夢なので』
嘘を混ぜた本当。
それを口にしてミッドナイトへ顔を向けると、グッドサインを貰えたので、教壇から降りる。
何故か寝てるはずのイレイザーヘッドと目が合ったが、特に用もない様子だったので席に戻った。
「お前、兄貴いたんだな」
『うん』
「……」
『…後でな』
「！おぉ」
コイツは最近遠慮というものがなくなった気がする。
聞きたい知りたいと視線を寄越す轟に、小さく溜息が零れ出た。
「えっ！リクくん職場体験行かないの？！」
「あんなに指名来てたのに！！」
出久と麗日の声に苦笑して、イレイザーヘッドに言われたことを伝える。
俺は元々"普通科"で、当然ヒーロー科目の授業は受けていない。
実技はこれからなんとか追いつけるだろうが、座学の方はどうしたって時間が必要だ。
彼らが職場体験に行っている間にヒーロー科目の座学を受講しなければ、今後の授業もテストも悲惨なこと間違いなしである。
『だから、俺はここに居残り授業』
「ひえぇ、今までのを1週間で？相澤先生スパルタだなぁ」
「わからない所あったらいつでも連絡してきていいからね！」
『ありがとう出久』
「色瀬」
グッと拳を握る出久に軽く笑って、イレイザーヘッドの声に席を立つ。
『じゃぁまた明日』と2人に手を振って教室を後にした。
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作者名：ソーカ | 作成日時：2019年5月21日 13時
