12 ページ12
因みに彼女は経営科に所属している。
同級生達に一年という大きな遅れをとっているにも関わず、成績は常にトップ3圏内。
彼女曰く、アメリカにいる間に経営学やそれに連なる専門知識を叩き込んできたのだとか。
『私の今の夢は、ヒーロー達が安心して市民を護れるように、その事務所経営をサポートすることです。主に若手ヒーロー達の独立を手助けしたいと思っています』
照れくさそうにはにかんだ彼女の言葉により、僕達二人の約束は、新しいモノになった。
『私のお客様第一号は出久くんですから。早く立派なプロヒーローになって下さいね。私それまで、腕を磨いて待っていますから！』
笑顔に悶えたのは言うまでもない。
絶対、一生、忘れない。忘れてたまるか。
「あの…デクくん？顔不細工になっとるよ？」
「ハッ！ごめん！」
「それとね…めっちゃ言い難いんやけど…」
「？」
当時を思い出したばかりに、表情筋が大変なことになっていたらしい。
しっかり戻すと、麗日さんがどこか申し訳なさそうにソロりと僕の後ろを指さした。
「爆豪くん！この前聞かせていただいた事務所方針の中にある、一見不効率に思える一人ひとりの能力にあった人材派遣を徹底するお考えについて、少し聞かせていただきたいことがあるのですが！」
「あ？んだよお前か…ってなんで轟引き連れてんだコラ」
「？轟くんはさっきそこでお会いして…あ、そうそう！これから彼の考える事務所方針を伺おうとしていた所だったんです！そこで君もお見かけてして、是非ともお話したくて来ちゃいました！」
ニコニコと笑みを浮かべてかっちゃんの手を握る彼女のもう片方は、轟くんと繋がっていた。
ああヤバい、またやってる。
さっきは彼女の嬉々とした声により、思い出の中に行っていたから気付かなかったけど。
そういえば轟くんはエンデヴァーの息子ということもあって、彼女の『将来において事務所経営を是非ともサポートしたいヒーローランキング』第3位だった。
彼女のテンションが上がらないわけがない。
言わずもがな1位は僕で、お察しの通り第2位はかっちゃんである。
切磋琢磨し合える僕の良きライバルであり、尚且つ幼馴染みであるかっちゃんも、是非ともサポートしたいということらしい…。
…こんなことは順位と共に絶対にバレてはいけない。
悲しいかな彼の性格上、僕はそれを真っ先に理解した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 27人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
絵音(プロフ) - すごい好きです。主人公と 出久くんの本音を言い合うところとかほんのに好きです。素敵な物語を読ませてくれてありがとうございます…ッ！！！ (2019年5月22日 23時) (
レス) id: 740c8210f3 (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 凄くあったかい良いお話でした！生きて欲しいと説得？してるところとかもう涙が止まらず泣きながら読みました！素敵なお話を有り難うございます！ (2019年2月19日 23時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ソーカ | 作成日時：2019年2月14日 14時
