希望の先 ページ19
独立して半年。
「あ！"デク"だー！」
「おーい！デクー！！」
「昨日の密着観たぜー！」
お陰様で、市民の人達にも暖かく受け入れられ、仕事は順調に進んでいる。
「ありがとう！デク！」
「ありがとうございます！」
「いえいえ」
《そうですね…確かに"無個性"は、世界にたった二割しかいません》
「！」
家電屋に並んだ液晶テレビ。
そこに映る恋人の姿に、自然と頬は緩む。
彼女もまた、僕をここまで支えて来てくれた、大切な人。
彼女はちょうど一年前、僕達よりひと足早く会社から独立してとある企業を設立させた。
それから半年後、僕の事務所経営に、彼女は最前線で携わってくれた。
そしてこの半年間で、かっちゃんと轟くんの事務所まで。もう彼女は立派な敏腕経営者である。
―――僕達は、ようやっと約束を果たせたのだ。
《そしてその"無個性"の大半を占めるのは、ご高齢の方々。しかし、若い世代の中に個性のない人がいないと、今後も産まれてくる可能性は無いと、言い切れないのもまた確かなことなんです》
《それに、事故や犯罪のせいで個性が使えなくなってしまう事例も決して少なくはありません》
《そういう人達にこそ、きっと受け皿が必要なんです》
「まだ若いのに立派ねぇ」
「社長なんでしょう？」
「なんの？」
「ヒーロー事務所の経営コンサルタント」
「あぁ！この会社知ってる！最近この姉ちゃんよく観るよなぁ」
「なんでも、社員の半分は"無個性"らしいぜ。あとは難儀な個性持ちとか"元個性持ち"」
彼女はまた、誰かを救おうと更なる道を歩いている。
『私は私のやり方で出久くんのように
誰かを救う人になりたいんです』
『ココはそういう夢を諦めたくない人が
集まる場所にします』
《そうですねぇ…これから私達が目指すもの……》
『出久くんが私のヒーローになったように、
私も誰かのヒーローになって、
その人も誰かのヒーローになる』
『それを沢山拡げて行くんです!』
『きっとそれは、
多くの人が沢山の人を救う
素敵な社会になるはずだから!』
『そしていつか!』
「引退したら、ココに就職するのも良いかもな…」
《誰もが誰かのヒーローになれる社会、ですかね》
『この社会を小さなヒーローでいっぱいにして、出久くんを暇人にします！』
その時は、宜しくね？
―――僕らのヒーロー。
【希望の先】END
終わり
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絵音(プロフ) - すごい好きです。主人公と 出久くんの本音を言い合うところとかほんのに好きです。素敵な物語を読ませてくれてありがとうございます…ッ！！！ (2019年5月22日 23時) (
レス) id: 740c8210f3 (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 凄くあったかい良いお話でした！生きて欲しいと説得？してるところとかもう涙が止まらず泣きながら読みました！素敵なお話を有り難うございます！ (2019年2月19日 23時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソーカ | 作成日時：2019年2月14日 14時
