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「コイツにやったことは、ただ傷に『細胞を埋めた』だけだ。痛みも無ェし皮膚も塞がってはいるが、それだけだ。
完璧に治すには、さらにリカバリーガールの治療が必要なんだよって言ってる側から逃げてんじゃねーぞコルァア！！」
ビクッと四つん這いで進んでいた水揮の身体が震える。
気付かなかった彼らの目が僅かに見張った。
「んな低級四足歩行で俺から逃げるとか一世紀早いんだよカスが！」と、ズカズカと水揮へと歩み寄る解構の姿に、切島がボソリと呟いた。
「解構って…なんか爆豪に似てるな…」
「ア"ア"？！」
「たしかにな」
「殺すぞ半分野郎！！」
「行け」
「行かない」
「行け！」
「行かない」
「行けっ！」
「行かない」
「プリン！」
「行かない」
「２個！！」
「行く」
『……』
奇妙な攻防の末、漸く頷いた水揮に解構は満足げに頷いて彼らを呼んだ。
取り敢えず、プリン２個で話が落ち着いたらしい姉弟のやり取りを、彼らは無言で見届けた。
「俺もう帰るから、鋭児郎と焦凍くんはコイツ支えてやって。勝己は装備よろしく」と爆豪へ装備を纏めたものを渡す。
傍らでは轟と切島が、水揮を気遣いながら肩に手を回していた。
何故自分がと怒鳴る爆豪へ解構の含み笑いが向けられた。
「んだよー、パンツ見たんだからそれくらいしてやれよー」
「見てねーわ殺すぞ！！！」
「えっウソ見てねーの、そりゃ気の毒だな色は黒だぞ」
「聞いてねーよ！！何言っとんじゃクソ犬がぁっ！！」
「いやホントは見たかったんかなって。あと狼な」
「思ってねーわ死ねっ！！！」
ひったくるように装備を受け取った爆豪と解構のやり取りを背中に、水揮達はゆっくりと歩を進める。
足に力が入らない為に二人へ全体重を乗せる形となってしまった水揮が、切島と轟へ謝罪した。
「それに…嫌なモノをを見せただろう…悪かったな」
嫌なモノとは、言わずもがな脇腹の怪我を差していて。
謝る必要は無いと告げる轟に切島も頷く。
そんな二人に対し不思議そうに「…見慣れていたか？」と首を傾げる見当違いな水揮へ、「見慣れるか！」と切島の鋭いツッコミが飛んだ。
なんとなく、水揮の性格が分かってきた気がする切島である。
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作者名：ソーカ | 作成日時：2018年5月22日 23時
