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「…何やってんだクソ髪」
「……」
「えっ、いやっ違ぇって！」
「ブッ」
爆豪の軽蔑の視線と轟の若干冷めた視線に、切島は首を振って何かを否定する。
その光景に彼から失笑が漏れた。
肩を震わせながら、彼が口を開く。
「クッ、あー鋭児郎ッフ…うんッ…そーだよなッ武器まみれじゃッ、抱えにくいよな…ブフッ！」
「笑ってねーでさっさと外せよ！！」
羞恥に染まった顔で怒鳴る切島に、「っへーい」彼はニヤケ面で水揮の装備を外していく。
途中「やっぱ邪魔」と吐き捨てて水揮のスカートを躊躇なく捲りあげた彼に、切島達が光の速さで顔を背けたのは余談である。
大量の装備を外して、漸く抱き上げた切島を横目に、彼は鉄ブロックに触れる。
グニャリと歪んだそれは、４本脚を生やして彼の腹程の高さになり、テーブルのように形を変えた。
「お前の個性…狼化じゃないのか？」
「まぁなー。あ、俺の名前、解構(ｶｲｺｳ)ね。水揮の弟よろしくー」
「苗字で呼ばれんの好きじゃねーから名前で呼んでちょー」と荷物から真っ白の布を取り出して、テーブルに敷いた。
そこに水揮を乗せるように促す解構に、切島はそっと彼女を寝かせる。
ブラウスを腹まで捲って患部に目を凝らした。
「血まみれで診えねー」
彼らの視線を感じながら、腰のポーチから小瓶を取り出し、中身を患部の周りに垂れ流す。
洗い流された患部に、解構の目が見張った。
(やべぇ…っ)
途端に水揮のブラウスが胸下まで無くなる。
手にしたそれの血が付着した部分を破り捨てる解構に、切島が戸惑いがちに彼の名を呼んだ。
「鋭児郎！これを水に濡らしてきてくれ！」
「えっは？！」
「早く！！テメェは死体が見てぇのか！！！」
『っ！？』
解構の言葉に、切島が布切れを持って走った。
それを尻目に、解構は爆豪へと視線を向ける。
「そこのイカすコスチューム！焦凍くんの隣！」
「あ？」
「お前の名前は！？」
「…爆豪勝己」
「んじゃ爆豪！水揮の両手押さえつけてくれ！」
無言で指示に従う爆豪に、解構はポーチからカチューシャを取り出し、前髪を上げた。
所々隠れていた彼の金色の双眼が覗かれる。
それに軽く目を見張る爆豪へ、解構は「死んでも離すなよ爆豪」と戻って来た切島に視線を向けながら。
「サンキュー鋭児郎！あとはせめて祈っといてくれや」
十分に濡れた布切れを受け取って、含み笑いを浮かべた。
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作者名：ソーカ | 作成日時：2018年5月22日 23時
