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「化け物処理頼めますか」
「ああ、勿論さ」
「さあ！クリアして帰ろう！」
無理はするな。
それがお互い声になることはなかった。
そんな言葉は、言えばオウム返しになるだけで、結局何の意味も無いのだろう。
方や限界が間近に迫った男と、方や腹に穴が空いた女である。
お互いボロボロで、言うことすら野暮だ。
「オイやっぱやるっきゃねーって！」
だから言わない。
言う必要はない。
何より彼は…オールマイトは、
「いい。ジッとしてて」
「空無！？」
((平和の象徴なのだから！))
感じた圧に、もう片方の掌を斬りつけて、瞬時に両手を地面へ振り下ろす。
連られて出来た赤い壁に、爆風が襲い掛かって。
今にも飛ばされそうな壁に、水揮は巻かれた布に手を掛けた。
(足りないっ)
上手く切れ込みの入った布を引き裂いて、咥えたナイフをそこに突き刺す。
痛みに唇を噛み締めた。
「！？空無さん！！！」
「ッ！お前何やって」
「私じゃない！！」
ナイフを抜いて、手を当てる。
分厚くなった壁に安堵して、水揮は彼らへ振り向いた。
唯一見える口角が、上へと弧を描いて。
「しっかり見てろ！あの人が！君達を護るヒーローだ！！」
『っ』
轟音と共に舞い上がった脳無。
それを地面に叩き付けたオールマイトが、上から拳を振るう。
血を吐きながら。
それでも反撃の隙を与えない。
決して緩まない拳に、脳無はされるがままだった。
立ち上がる脳無に、オールマイトの一撃が決まる。
施設の天井をぶち破って、空へと消えた脳無を、彼らは唖然と見上げた。
切島達の声を聞き流し、水揮は壁を解いて静かにソレを水中へと飛ばした。
さすがにあの量の血をばら撒くのは、彼らには如何なものかと思った結果である。
何より本番はここからだ。
おそらく、オールマイトはもう動けないだろう。
敵が素直に引けば問題ないが、そうでなければ…
(アレを使う)
密かに決意して、腹を押さえる手に力を込めた。
絶対に死なせない。
「さてと『敵』、お互い…早めに決着つけたいね」
「チートがぁ…っ」
怒りに震える死柄木が、自身の首を掻き毟った。
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作者名：ソーカ | 作成日時：2018年5月22日 23時
