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死柄木の脳無を呼ぶ声に、渦から全身が現れる。
凍った右脚が砕けるも、なお動く脳無に水揮以外の彼らが息を飲んだ。
砕けた腕と脚の付け根から、音を立てて肉が伸びる。
遂には皮膚も出来上がり、完全な四肢が元に戻った。
「ショック吸収の個性じゃないのか」と問うオールマイトに死柄木の口が弧を描く。
「別にそれだけとは言ってないだろう？これは超再生だね…。
脳無はお前の１００％にも耐えられるように改造された超高性能サンドバック人間さ」
『っ！？』
完全に再生した脳無の眼が此方を捉える。
改造の言葉に、水揮の奥歯がギリッと音を立てた。
「水揮くん、生徒達を頼めるかい…？」
「無論そのつもりです」
頷いて、オールマイトの隣から彼らの前に移動する。
そんな水揮の名前を、死柄木は不機嫌な声で呼んだ。
「なんでそんなに守るのさ。
ソイツらは俺達とは違うんだぜ？」
「それが私の義務なので」
「っあー、ホント可哀想…なぁ、そう思わないかヒーロー？だから嫌いなんだよお前らみたいな存在が」
忌々しげに語る死柄木に、オールマイトの顔が歪む。
彼は、水揮の何を知っている。
タラリと額を流れる冷や汗に、オールマイトは眉を寄せた。
「まぁ良いや。連れて帰るんだから、水揮はお前らから救われる。
そのためにも、まずは出入口の奪還だ」
(！爆豪勝己っ)
「脳無」
短刀を投げ捨てながら、自身を弾く。
休息したからか、先程より上がった速度。
地を蹴った脳無より、水揮の方が爆豪に近い距離にあった。
水揮の伸ばした手が爆豪の体を弾きながら、彼女は攻撃に備えて自身の身体を氷で覆う。
が、目と鼻の先の脳無に水揮は目を見張った。
(クソッ間に合わなっ――)
轟音と凄まじい風が辺りを包む。
飛ばされた緑谷の視界に黒霧を抱えた脳無が見える。
「かっちゃん！」
消えた爆豪に思わず声を上げた緑谷だったが、すぐ隣の気配に顔を向けた。
そこには尻餅を着いている爆豪がいて。
避けたのかと驚愕の声を上げる緑谷へ、爆豪が「違ぇよ黙れカス」と静かに否定する。
(何も、見えなかった…)
何が起こったのか、怪訝に顔を歪める爆豪の鼓膜を切島の戸惑う声が揺らす。
「空無は…？」
『！』
よく見るとオールマイトもいない。
「ならアレは…」轟の視線を辿るように、彼らもそこに顔を向ける。
彼らの目に飛び込んで来たのは、崩れた壁に立つオールマイト。
そしてその腕に支えられた水揮だった。
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作者名：ソーカ | 作成日時：2018年5月22日 23時
