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「私に、何か用ですか」
「…あぁ…そうだよその髪色…その声、やっと見つけたっ。こんな所にいたんだっ」
四肢の生えた脳無に、水揮は面の中で眉を寄せる。
歓喜に震えるように両手を広げた、顔や体に白い手を付けた彼が、愛おしそうに言葉を紡いだ。
「会いたかったよ水揮」
「…全身義手人間の知り合いはいませんが」
「知り合いじゃない、理解者だ。お前はコッチ側の人間だろう？」
「…目的はなんです」
「平和の象徴を殺す。そして水揮を連れて帰る」
「……」
愉快そうに語る彼に、水揮は思考を巡らせる。
どこか、彼の何かが水揮を引っかからせて。
ああ、頭痛で思考が廻らない。
誰だ。おそらくだが、彼の言葉通り、自分は彼と会っている気がして。
「死柄木弔」
「黒霧、13号は殺ったのか？」
「…行動不能には出来たものの、散らし損ねた生徒がおりまして…1名、逃げられました」
死柄木の隣に現れた黒霧の言葉に、水揮は目を見張る。
と言う事は、無事応援を呼ぶことが出来たということだ。
だがヒーロー達が此処に到着する迄、どうにか時間を稼がねばならない。
逃げるようなら足止めも。
なにより13号と相澤の様態が気掛かりだ。
すぐにでも病院へ向かわせなければならない。
その為には、最低でも彼らを拘束、良くて気絶させるのが一番だろう。
苛立ちを隠しもせず首を掻く死柄木に、水揮の脳内に一際大きい痛みが襲った。
思わず頭に手を添える彼女の脳裏に、幼い自分の声が過ぎる。
−大丈夫、……−
−でも、水揮が−
「っしまった…！」
横を通り過ぎた死柄木に水揮はすぐさま後を追う。
手を構えた死柄木と水面から顔を出す蛙吹の間にその身を滑らせて、彼との間に氷を出すのと、死柄木の指先がソレに触れるのは同時だった。
静かに乱す水揮の息遣いが、その場に溶ける。
予想に反した光景に死柄木は小さく舌を打った。
「本当カッコイイぜ、イレイザー・ヘッド」
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作者名：ソーカ | 作成日時：2018年5月22日 23時
