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一方、水揮は爆豪の質問に疑問符を浮かべる。
質問自体は理解出来る。が、彼の立場上何故それを問うたのかが、どうしても理解出来なかった。
何故なら彼、いやここの彼らは…
「君は…ヒーローを目指しているんじゃないのか？」
「あ！？当たり前だろが！つーか質問してんのは俺だ！なに質問仕返しとんじゃ殺すぞ！」
「ヒーローでも『敵』でも、戦闘時において個性不明のアドバンテージは大きい。
それを自ら無くす事は、当然だが愚行といえる」
諭すような静かな声に、爆豪の眉間に皺が寄る。
水揮はただ淡々と、言葉を紡いだ。
「…君がプロになったとして、『敵』と相対した時、今と同じ質問をするつもりなのか？」
「っ！」
正論。
水揮の言葉は尤もだ。
ヒーローが敵相手に「お前の個性はなんだ」など。
敵が易々と答えるはずはないし、逆も然りだ。
それを、理解して。
見下されたような苛立ちに、爆豪は歯噛みする。
雄英ヒーロー科は『プロヒーロー』を育成する教育機関。
そこに在籍する彼らは、その素質を有している。
そう判断されて、此処にいるのだ。
しかし、彼らは一般的に見れば高校生。
社会からは『将来ヒーローになるであろう高校生』『金(ヒーロー)の卵』と認識されている。
だからといって、彼らがその認識を持つことには、水揮にとっては些か甘さを感じた。
「私が言うのも何だが、此処に在籍するのならヒーローに『なるつもり』でも『なったつもり』でもなく、『ヒーローとして』行動すべきだと思う。
さっきの君の質問は『将来ヒーローになるであろう高校生』らしい、ヒーローらしからぬ質問だったよ爆豪勝己」
クソが。
毒づく言葉は声にはならず、代わりに舌打ちと化した。
納得、してしまった。
自分は彼女より、ヒーローに対しての意識が低いのだと、示された気がして。
どこかで水揮を舐めていた。
そんな事は、あの戦闘訓練以降なかったはずなのに。
所詮、舐めていない『つもり』だったのだと。
その事に、水揮本人から気付かされることになろうとは。
(クソがっ！！)
もう1度毒付いて、爆豪は荒々しく背もたれに身体を預けた。
絶対ぇ潰す！
そう水揮への思いを燃やして、窓辺に頬杖を着いて。
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作者名：ソーカ | 作成日時：2018年5月22日 23時
