『A』② (ページ2) - 小説/夢小説

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「俺サポート科のー…まぁ只の弟だから、んな気張んなくて良いよー」

「え？え？弟？サポート科の？誰の？」

「ふはっ、キョドりすぎだろ。
同じ1年なんだし仲良くしよーぜパツキン君」

「只今友達大募集中なんだけど、赤髪君もどう？」と、歳相応の笑顔を浮かべる彼の雰囲気に、上鳴は自然と肩から力が抜けた。
いつものように二つ返事で答えた切島に続いて、自身も同じように頷いて名乗る。
切島の自己紹介を終えると彼は声を弾ませて。
「よろしくな！1号2号！」「名乗った意味な」「友達の称号だって！」「てことはいなかったんかよ友達！」「ナメんな大募集つったろ？」
含み笑いから彼の気さくさが伺える。
わっさわっさと尻尾を揺らして、何故かドヤ顔になった彼に再度笑いが込み上げた。

「俺なんか知らんけどクラスで浮いててさー」

わっさわっさ

「あーなんか分かるぜ」

わっさわっさ

「うん。一匹狼的なオーラ出てんもんなぁ。空無さんもそうだけど」

わっさわっさ

「うっそこんなイケメンなのに？」

わっさわっさ

「自分で言うのかソレ！」

「いや十年以上言われ続けると流石に『そーなんかな？』ってなるっしょ」

「て、いうか…」そこで言葉を切った彼に、漸く二人の視線が向けられた。
どうした、と首を傾げる二人に「どうしたじゃねーよ見すぎな」と顔をしかめる。

会話中に注がれたのは、言わずもがな彼の背後で揺れる白い尾。
悪いと謝る二人に、彼はニヤリと「触りてーの？」含み笑いを一つ。
良いのか？！と瞳を輝かせて詰め寄る上鳴の顔面を、彼は鷲掴んで遠ざけた。

「お前らブラウニー食えっか？」

「は？ブラウニー？」

「チョコレートケーキみたいなモンだよ」

質問の意図が分からず首を傾げた切島に、ブラウニーを説明する。
が、当然ながら知らないわけもない「いや知ってっけどよ」と思わず漏れた。
続いて嫌いではないことを伝えると、彼は満足気に頷き、漸く上鳴から手を離しす。
騒ぐ上鳴へ悪びれもなく「どうせ上鳴は食えんだろ」「おい」。
「んじゃぁデッキー＆エイジロ」

「デッキーって俺か？！」

「どっかで聞いたことあるなソレ」

「俺の超高級体毛をモフりたければ、ブラウニーいっちょ食ってこーい」

ビシッと指された方角は、今まで自分達が見ていたそこで。
顔を向けると先ほども見た水揮が、何故か未だ佇んでいた。

が、如何せん彼の言うブラウニーは廊下に落ちてるわけでも、誰かが配っている様子もない。