撃沈！MJO ページ7
【第2話：撃沈！MJO】
個性把握テストの翌日。
授業開始の記念すべき一日目であるのだが、普通教科の授業にプロヒーローが教壇に立っているそれ以外は、至って普通の授業だったことに生徒達は拍子抜けていた。
そんな授業に早くも順応してきた３回目の休憩時間。後方の引き戸から入って来た水揮により、本日初めて1年A組の二十一席が全て埋まった。
「空無さん、おはようございます！」
「ん。おはよう」
振り向いて笑みを浮かべる八百万に、水揮は一瞬動きを止めるもすぐさま挨拶を返す。
相変わらず感情の読めない声であったが、八百万は嬉そうに笑みを深めた。
が、しかし。
それなりに騒がしかったはずの教室内が、いつの間にか静かになった現状。加えて控えめに突き刺さる視線に気付いた八百万は当然忙しなく周りを見渡した。
一体どうしたというのか、戸惑う八百万の傍らで、原因である水揮は彼女を前にド緊張真っ只中である。
暴れる心臓に、当の本人は周りに意識を向ける余裕など皆無であったが、それは全く態度に出ない。はたから見れば淡々と次の授業に向けて準備をしているだけである。
ペンケースや教科書類を机上に置き、椅子を引いて水揮は静かに着席。それを見計らったように女子生徒が声をかけた。
「私、耳郎響香。水揮って呼んで良い？」
小さく頷いた水揮に「ん。よろしく水揮」と耳郎は微笑みながら、昨日のテスト後の更衣室で聞いた八百万の話はあながち間違いではなさそうだと、内心で密かに安堵した。
２０人中女子はたったの６人という人数では、お互い打ち解ける時間はそう掛からない。
互いを気軽に名前やアダ名で呼び合える程には、耳郎もすぐに心を開いていた。
−いやぁ、でも女子６人って少ないよねー−
−透ちゃん、７人よ。空無ちゃんもいるわ−
−あ、そっかー−
−でもさぁ、空無さんってなんか近寄り難い雰囲気だよねー−
−わかる。なんか一匹狼的なオーラが…−
−そんなことありませんわ！−
−えぇ！？どうしたヤオモモ−
−空無さんは、とっても……とっても可愛らしい方なのです！−
−はい！？てかヤオモモ空無さんと知り合いなの？−
−いえ、テスト前に少しお話した程度なのですが…それでも皆さんが思うようなお人ではありませんでした！−
拳を握って熱く語る八百万に、当時は首を傾げるばかりであったが。
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作者名：ソーカ | 作成日時：2018年1月21日 18時
