旅立ちの朝に幸せの花を咲かせよう。 (ページ19)

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０１６輪目 cherry blossom ページ19

cherry blossom ～拓飛side～

歩き始めてから１０分ほど。

柊愛の歩くスピードが落ちてきているような…？

拓「…大丈夫か？少し休む？」

柊「へ…？あぁ、大丈夫だよ！後５分くらいで着くから…」

そうは言いつつも、やはり疲れているようだ。

まだ少ししか歩いていないのに…インドア派なのかな？

そのまま桜のある公園に着くまで、無言が続いた。

無言ってある意味キツイよな…

柊「つ…着いたぁー！はぁー、疲れた…」

拓「す、すごい…」

その公園は、桜のピンクで見事に彩られていた。

綺麗だなー。

柊「ﾌﾌｯ。凄いでしょ？私が見つけたんだよ！」

拓「柊愛って、花に関しては凄いな。ある種の才能かも…」

柊「そうかな？ｴﾍﾍ。」

うわー嬉しそう。

サァァ…

風が吹いた。

柊愛の白くて長い髪が靡く。

桜の花びらも散ってきて、まさに絵になるなぁと思う。

柊「『桜』ってね、他のお花とは違って下を向いて花を咲かせるんだよ。」

拓「へぇ、確かに…なんで？」

柊「きっとね、私達みたいな自分を見に来た人達に見せたいんだよ。立派に咲き誇った花々を。」

ふーん…植物でもそんな事考えてたりするんだ。

柊「おバカさんだよね。上を向いて太陽の光をたくさん浴びたい花が殆どなのに、わざわざ下を向くなんてさ。でもね、それくらい私達に見てほしいんだよ。『私を見て』って。そう思ったらさ、桜のこと、たくさん見たいなって思わない？」

コイツは本当に、心から花が大好きなんだな。

柊「ちょっと甘えん坊な桜さんなんだけどね、実は『優美な女性』なんだよ。」

『優美』か。

確かに春の花と言えば『桜』を１番に思い浮かべる人も多いだろうし、夜桜といばそれは綺麗だ。

柊「私も桜みたいな女の人になれたらなぁ…なんて。」

そう言って柊愛は、桜の絨毯に寝転んだ。

俺もその隣に寝転ぶ。

仰向けになると、たくさんの桜達と目が合っているよな気がしてあまり落ち着かなかった。

…ちゃんと見ているよ。

柊「ｽｩ…ｽｩ…」

拓「！？おい、起きろ！こんな所で寝たら絶対に風邪ひくぞ！」

柊「ん…ふわぁ？」

俺はそのまま柊愛を背負って家まで帰った。

拓「はぁ…よかった…」

柊「ｽｩ…」

ｲﾗｧ…

まったく、コイツときたら…！

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桜

花言葉…優美な女性，精神の美

誕生花…4/1,4/9,4/21