To you

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WZ「俺さ、宿舎出るわ」
WN「やっぱりそうなるよね」
WZ「ああ、このチビにこの部屋は危なすぎる。ペットOKのマンションに引っ越すよ」



驚かれるかと思っていたけど、案外ウォヌの反応は普通だった。
むしろ想定内だったらしい。



WN「いい家見つかりそう？」
WZ「もう見つけてあるよ、今は入居審査中。通ったら来週の頭にでも引っ越す」
WN「え、もうそんなに進んでんの？会社には？」
WZ「もう許可は取ってあるよ。引越しとこのチビ飼う許可下りたから」
WN「仕事早すぎる」



昨日から寝る時間を削って部屋探しと引越しの準備を進めている。
幸いにも宿舎の近くに丁度よさそうなマンションを見つけた。



WN「遠いの？」
WZ「いや、宿舎からかなり近いよ。ちょっと部屋は狭くなるけど大して変わらないし、こいつも走り回れると思う」
WN「そっか。っていうかこの子、すごく大人しいね」
WZ「昨日ちょっとだけ走ってたんだけどな。危なっかしいからベッドに戻したんだけど、それからずっと大人しくしてくれてるんだよ」
WN「へえ、聞き分けいいね」
WZ「機材にも全然近づかないし……なんかこいつ、俺の言葉わかってるみたいで面白いよ」
WN「ははは、案外本当にわかってたりして」



心做しか、俺を見上げるちびすけの顔が困り顔になったような気がする。
猫ってこんなに表情豊かなんだな、知らなかった。

頭を撫でてやれば、いつものように目を細めて丸まった。



WZ「まあでも、運動させないのも体に悪いだろうし」
WN「そうだね。いいと思うよ、引越しは」
WZ「まさか、宿舎出る理由が猫飼うためになるとは思わなかったわ」
WN「俺も予想外だよ。でも多分引越しって猫の負担大きくなると思うから、慎重にね」
WZ「ああ、わかってる。ありがとう」



さて、ちびすけのためにもうひと踏ん張りだな。
順調に進めばいいのだが。


宿舎を出るのは、まあ少し寂しい気持ちも無いわけではない。

……のだが。



まさかこれが想定外の出来事を引き起こすなんて、この時は思いもしなかった。

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