22日目の大脱走 ページ17
22日目。
ちびすけがいなくなった。
昼間、宇宙工場へ向かおうと支度をしていた時のことだった。
着替えて荷物を持って、さてチビを連れて行こうとしたら、さっきまでベッドにいたはずのチビがいなくなっていた。
大好きな毛布を残して。
スニョンは外出中。
ほんの数分、目を離した隙にいなくなっていた。
部屋の中をくまなく探してみるも、なぜか見つからない。
名前を呼んでもいつものように走ってこない。
どこに行ったんだ。
その瞬間足元を掠めた冷たい空気に、ハッと我に返る。
窓が開いている。
そういえば、換気のために開けていたっけ。
……まさか、外へ?
そうだとしたらまずい。
アイツは大きな音が苦手だ。
この毛布が無いと、そして俺が撫でていないとアイツはうずくまってずっと震えているのに。
たった一匹で外に出て生きていけるわけがない。
それにあの小ささだ、車や自転車に轢かれでもしたら。
ウジチビがいなくなった。もし見かけたら連れて帰ってきてほしい
グルチャにそれだけ連絡を入れて、外に出る。
雪が降っていて寒い。
それがさらに嫌な予感を煽る。
どこに行ったんだ。
今まではこんなことなかったのに。
ああもう、どこを探せば。
とにかく、頼むからどうか無事でいてくれ。
お前が無事なら、それだけでいいんだ。
しんしんと雪が降る街中を捜索すること数十分。
指先の感覚が無くなってきた頃に、1本の電話がかかってきた。
JN「[ウジ、Aちゃん見つけたよ!]」
その明るい一言で、膝から一気に力が抜けた。
WZ「……怪我は、……」
JN「[大丈夫、特に無さそう!今から連れて帰るけど、ウジどこにいる?もしかして外?]」
WZ「……うん。作業室近いから、そっちに来て」
JN「[わかった!あと10分くらいで着くから待っててね。よしよしAちゃん、ウジに声聞かせてあげて〜?]」
『[みゃぁぉ]』
JN「[えらいね〜!]」
ああ、この声は。
この鳴き方はちびすけだ。
生きてる。よかった。
WZ「……ジュナ、悪い。ありがとう」
JN「[うん、大丈夫だよ!]」
ちらちらと降る雪が睫毛に落ちて、ちいさな雫となる。
きっとそのせいだ、目に映る世界が少しだけ潤んでいるのは。
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来栖(プロフ) - xiuloveさん» イカの塩辛しか勝たん卍 (3月24日 18時) (レス) id: 3b73c7ec64 (このIDを非表示/違反報告)
xiulove(プロフ) - おはようございます。朝から爆笑wwwまさかの初回翻訳がイカの塩辛てwww最高っす! (3月12日 7時) (レス) @page20 id: 24655dc51b (このIDを非表示/違反報告)
来栖(プロフ) - いずもさん» いずもさん、コメントありがとうございます!なかなか更新できずすみませんでした!🙇🏻♀️🙇🏻♀️ (3月3日 22時) (レス) id: 3b73c7ec64 (このIDを非表示/違反報告)
いずも(プロフ) - 更新キター!!お待ちしておりました!、応援してます! (3月3日 21時) (レス) @page19 id: f7b04849d7 (このIDを非表示/違反報告)
来栖(プロフ) - iuwfpdさん» iuwfpdさん、返信遅くなりましてすみません🙇🏻♀️励みになるコメントありがとうございます😢今のところ占ツク以外での創作活動はしておりません、思いついたお話は全て占ツクで消化します!😂 (3月3日 19時) (レス) @page19 id: e487827aa9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:来栖 | 作成日時:2023年11月22日 19時