･ ページ4
初めて口にした猫用ミルクとキャットフードは全然味がしなかった。
どうやら味覚も人間のものが残っているらしく、結構キツい。
あまりにも不味くてどっちもウェッと全部吐き出してしまい、床を汚してしまった。
怒られるかと思いきや、その男の人は全く怒らなかった。
めっちゃいい人だ。
でも本当にごめんなさい、これはちょっと食べられない。
「無理か。でも何か腹に入れねえと…あーくそ、ウォヌ今撮影でいねえしな…」
ウォヌ？この人の名前かな？
いや文脈的に違うか、多分。
猫の生体に詳しい人なのかもしれない。
「……へえ、ササミと米食っていいんだ。米は少しならOK、か。今どっちもあるけど食ってみる？」
ササミ！！米！！
もうなんでもいい、人間用のものなら！！
ください！という言葉もミィミィとしか変換されない。
不便すぎる。
「…？まあ、食えるもん食っとけ」
それから数分と経たずにドサドサと目の前に置かれるご飯。
と言ってもお米は小さじ1くらいの量だし、ササミもほんの3切れだけど。
私の今の体からすれば全部大きく見えるんだ。
ご、ご飯だ！！！お腹空いた！！！
「マジか、これは食えんの？お前、変わった奴だな…」
あまりの私のがっつき具合に引いているらしい。
いやもう、引かれてもいい。
こちとら昨日の夜から何も食べてないんだ。
ああ、生き返った！！！
「腹出たじゃん、食いすぎた？」
は、腹！？
レディーに対してそんな失礼な！
……あ、そうだ。
今はレディーもクソもないんだった。
だけどその瞬間、ひょいと体を持ち上げられた。
ひぃぃっ！？
この持ち上げられる感覚は本当に慣れない！
病院でたくさんやられたけど！
「……綺麗だな、お前の目。サファイアみたい」
びっくりした。
息を飲むのも忘れてびっくりした。
私の顔を覗き込んでくる、その人の顔。
肌は雪みたいに真っ白で、切れ長の目にもちもちの頬。
初めてしっかりと見えたその人の顔は、想像以上にベビーフェイスだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 713人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
来栖(プロフ) - ayakaさん» ayakaさん、コメントありがとうございます！のんびり更新していきますのでよろしくお願いします🥰 (11月22日 20時) (
レス) id: 3b73c7ec64 (このIDを非表示/違反報告)
ayaka(プロフ) - 早速読ませて頂きました！！更新楽しみにしてます！！ (11月22日 19時) (レス) id: 86f99d9947 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：来栖
| 作成日時：2023年11月22日 19時
