22日目の大脱走 ページ17
今のままじゃダメだ。
もし人間の私の姿を見れたら、何かが変わるかも。
わかることもあるかもしれない。
病院に行こう。
私が入院しているという病院に。
猫生活22日目。
初めて家を抜け出した。
換気のために少しだけ開けられていた窓。
チャンスだ。
ジフンさんは部屋に篭っているし、すぐに帰れば大丈夫。
そこからひたすら走った。
人間の1歩が、今の私の3歩くらい。
道なんて分からないけれど、果てしなく遠い距離を何かに導かれるように走った。
世界が、ひどくうるさい。
……どのくらい走ったのか。
ふっと無意識に足を止めた場所には、大きな門。
そびえ立つ白い建物。
わ、着いた。病院だ。
病院の名前もスングァンさんが言っていた病院と同じ。
なんで辿り着けたんだろう。
人間の私の体と、何かが繋がっているのかな。
絶対に誰にも見ることができない、糸のようなもので。
でも、ここからどうしよう。
よく考えたら猫が病院内にのこのこと入れるはずがない、それも私のいる病室までなんて。
しまった、その辺のこと全然考えてなかった。
……ここまで来たのに、帰るの？
私は今、人じゃない。猫だ。
なんとか病院内の人目を潜り抜けることだってきっとできる。
やってみなきゃわからない。
行こう。
何かが変わると信じて。
？「……あれ？Aちゃん？」
『！？』
その時突然、ヒョイッと私の顔を覗き込んできたのは美しい顔の巨人さん。
……じゃない。
マスクと帽子で目元しか見えないけれど、多分この人は、あの猫みたいなジュンさん。
JN「この首の傷、やっぱりそうだ！なんでこんな所にいるの！？こんな遠くに……」
そう言いながら軽々と体を持ち上げられて、こうなってはもう抵抗できない。
ああ、降ってくる声が大きい。
慣れてきたと思ってたのに、ジフンさんのブランケットのおかげだったらしい。
JN「もう大丈夫だよ。ウジがすごく心配してたよ、一緒に帰ろうね」
呆気なく回収されてしまった。
抱っこされたまま車に乗せられて、どんどん遠ざかっていく病院。
ああ、せっかくここまで来れたのにな…。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 713人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
来栖(プロフ) - ayakaさん» ayakaさん、コメントありがとうございます！のんびり更新していきますのでよろしくお願いします🥰 (11月22日 20時) (
レス) id: 3b73c7ec64 (このIDを非表示/違反報告)
ayaka(プロフ) - 早速読ませて頂きました！！更新楽しみにしてます！！ (11月22日 19時) (レス) id: 86f99d9947 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：来栖
| 作成日時：2023年11月22日 19時
