俺達のサジャ Ⅲ (ページ36)

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JS「俺なんかじゃ、頼りないだろうけど……」
『そんな事ないです』
JS「……ありがとう。それでも俺には、アイツらの帰ってくる場所を守る責任があるんだ」
『はい』
JS「……でも、俺の力だけじゃできないと思う。だから、一緒に守ってほしいんだ」
『勿論です。私にできることなら何でもします』

あの時とは違い、ハグが返ってくる。
いつの日からか、この子は良い意味で本当に変わったと思う。

『オッパは一人じゃないですよ。一緒に守りましょう、シュアオッパ』
JS「うん。ありがとう、A」

腕を緩めて顔を覗き込めば、Aは穏やかな笑みを浮かべていた。

この子の笑顔を見るとほっとする。
この子が後ろにいてくれると思うだけで、何でもできる気がした。

『……ココア、冷めちゃいましたよね。温めてきましょうか？』
JS「あー、それじゃあお願いしようかな」

Aのココアも冷めてしまったらしく、Aは二つのマグカップを手に取った。

その時ふと俺は、先程見ていた夢のことを思い出す。

JS「そういえば、昔の夢を見たんだ」
『昔の夢？』
JS「練習生だった時の夢。Aが俺をシュアオッパって呼んでくれるようになった時の夢だったよ」
『わあ、懐かしいですね』

どこか遠くを見つめるような瞳をしながら笑うA。
その顔に何故か既視感を覚えて、練習生だった時と全く同じことを口にする。

JS「……やっぱり俺、昔どこかで君に会ったことがある気がする」
『あはは、もしかして口説いてます？』
JS「違うよ。でも、あの時から全く思い出せないんだよね……」

時々Aを見ると覚える既視感の正体は、未だに分かっていない。
するとAは少し考え込むような素振りを見せながら口を開いた。

『……オッパ、YouTube見ますよね？』
JS「うん、見るよ」
『……AGTって見たことあります？』
JS「America's Got Talent でしょ？昔はYouTubeで色々見てたよ」

『私、昔それに出てTOP10まで残ったことがあるんです。YouTubeに動画があるみたいなので、それのせいかも』

JS「え」

まるでいたずらっ子のように歯を見せて笑い、マグカップを持ってそそくさとキッチンへ向かっていくA。

─── その数分後には、YouTubeで動画を見つけて既視感の正体を6年越しに突き詰めた俺の、歓喜の叫びが響いていた。