俺達のサジャ Ⅲ (ページ29)

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JS「見せて」
『だっ、ダメですっ、やめて、』
JS「A」

俺から逃げるように後ずさりするAだが、その名を呼べばビクリと体を震わせて固まった。

怯えたような瞳。
いつも笑顔を絶やさない安定感のある彼女とは違う、まるで仔猫のように怯えて震える彼女。
その理由が想像できない程、俺は鈍くない。

胸が、締め付けられるように痛んだ。

JS「大丈夫。A、俺は何もしないよ。意味分かるよね？」

両手を上げてそう伝えれば、Aは微かに震えながら頷いた。

JS「絶対に何もしない。見るだけだから。俺は、君を殴らないよ」

俺の言葉に、Aは唇を噛んだ。
もう嘘は通用しないと判断したのだろう。

彼女の華奢な腕をそっと掴んで、その袖を捲り上げる。

JS「……っ、」

─── ダメだ。絶対に声を上げるな。

俺が今、何か余計なことをすれば、彼女は怯えて殻に閉じこもってしまうだろう。
喉元まで上ってきた声を、直前で飲み込んだ。

色白な肌を埋め尽くすほどの、無数の痣。
内出血している青紫色のものから、茶色っぽく変色したものまで。
痛々しい、なんて一言では表しきれない。

JS「……A。今から俺の言うことに、頷くか首を振るかで答えて」
『あの、でも私っ、』
JS「今から言うのは全部俺の独り言だから。君が告げ口した事にはならない。いい？」
『……』

Aは無言で小さく頷いた。
やっぱりこれは、確実に口止めをされている。
第三者に告げ口をすればどうなるか、恐らく彼女は脅されているんだ。

だからこじつけかもしれないけれど、この方法が一番手っ取り早いと思った。

JS「……これ、殴られたんだよね？」

無言で小さく、ゆっくりと。
俯き気味に、彼女は頷いた。