俺達のサジャ Ⅲ (ページ27)

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『あはは、そうですよ〜。ナンパなら今更すぎますもん』
SC「まあ、それもそうか」
JS「なんか、どこかで会ったことがある気がしてさ」
SC「……お前が言うと口説いてるみたいなんだよな……」

スンチョリの言葉にAはクスクスと笑っている。

もし俺がAを口説こうものなら、メンバーが黙っていないだろう。
ボコボコにされる未来が見える。
そのくらい、彼女はメンバーから愛されていた。

常に彼女の隣にはジュンとミンミンがいて、二人がいない時は必ずウォヌがいる (ウォヌとAの仲が良いのがちょっと意外だった)。
そしてAと楽しそうに話す弟達はまるで子犬のようだ。

だがAは、どこか皆と一線を引いている節があった。
これは彼女が異様な程にスキンシップを避けていることから分かったことだ。

Aがするのはハイタッチと握手だけで、絶対に自分からスキンシップをしない。
他のメンバーもそんな彼女を気遣っているらしく、彼女とはハグをしたり肩を組んだり、挨拶程度のキスをすることもなかった。

スンチョリに聞いてみたら、日本人はスキンシップがかなり少ない国民性で、特に異性とのハグには抵抗があるのだという。

後はアンチの問題もあるのだろう。
SEVENTEEN TV が始まって3ヶ月程経つが、やはり紅一点につくアンチはそれなりにいる。
彼女の実力と人柄を見てアンチからファンに転向する人の方が多いらしいけど、やはり紅一点に批判は付き物らしい。

しかし彼女はそんな素振りを全く見せないので、いい意味で周りを気にしない、メンタルが強い子なのだと思っていた。

だが、それは俺の勘違いだった。
表面上の気丈な彼女に騙されていただけだった。
彼女は周りを気にしていないのではない。

ただじっと、重く冷たい雪の下で春を待つ花のように、たった一人で耐えているだけだったのだ。