ミンギュの記憶 �� ページ9
(MG side)
ヌナの右耳は、もう戻らない。
それを聞いた時は確かに衝撃だったし、変な汗が背中を伝って胸が苦しくなったけど。
ヌナなら絶対に乗り越えて、戻って来てくれると思った。
今は、ずっと走り続けてきたせいで疲れちゃっただけなんだって。
だから休んでるだけなんだって、俺は自分にそう言い聞かせた。
……だけど最近、ヌナに電話をしても出てくれないことが増えた。
俺だけじゃない。
ジョンハニヒョンやウォヌヒョン、ジュニヒョンが掛けてもあまり出てくれないらしい。
クプスヒョンにそれを伝えたら、「着信音が聞こえていないのかもしれない」と言っていた。
この間電話した時のヌナはそんな素振りを見せなかったけれど、やっぱり後遺症が及ぼす影響は俺が想像している以上に大きいらしい。
……だけど、実際はそれだけではないと思う。
MG「……ヌナ……」
" Aが壊れちゃう "
いつだったかジュニヒョンがそう言っていた。
実際ジュニヒョンが電話で声を聞いた時も、ヌナは無理やりいつもの明るさを貼り付けているような感じがしたという。
ヌナは、俺達の前ではあまり弱みを見せない人だ。
常に強くありたい、という言葉は口癖のようにいつも言っている。
だから、今も。
どこにも吐き出せずに溜め込んで、苦しんでいるんじゃないか。
電話に出られないくらい、憔悴してるんじゃないかって。
俺達の日常は、この1ヶ月で明らかに変わった。
ヌナはここにいないし、ジュニヒョンもどこか心ここに在らずで、最近はスンチョリヒョンまで何か悩んでいるようで。
声をかけても、ジュニヒョンもスンチョリヒョンも揃って「大丈夫だ」と言うけれど、全然大丈夫そうには見えない。
みんなもヌナの分まで頑張ろうって意気込んでいるけれど、どこか空気が沈んでいる。
ずっと灯っていた明かりが消えてしまった、そんな感じだ。
ヌナもヌナで、さすがに気が滅入ってるはずなのに、それを俺達に吐き出してくれることは一切なかった。
MG「……戻りたいな、あの頃に」
こんなの、柄じゃない。
過去に戻りたいなんて思ったのは本当に久しぶりかもしれない。
だけど、先が見えない将来に対する不安はありながらも、馬鹿をやっては笑い転げて騒いでいた昔に戻りたいなって。
……そうすればヌナも、心の底から笑ってくれるんじゃないかって、思っている自分がいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1932人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
来栖(プロフ) - セナさん» セナさん、ありがとうございます。必ずハッピーエンドにします！続きはもうしばらくお待ちください🙇♀️ (2022年10月26日 21時) (
レス) id: 3b73c7ec64 (このIDを非表示/違反報告)
来栖(プロフ) - てじさん» てじさん、いつもありがとうございます。続きはもうしばらくお待ちください🙇♀️ (2022年10月26日 21時) (レス) id: 3b73c7ec64 (このIDを非表示/違反報告)
来栖(プロフ) - 景夜さん» 景夜さん、いつもありがとうございます。続きはもうしばらくお待ちください🙇♀️ (2022年10月26日 21時) (レス) id: 3b73c7ec64 (このIDを非表示/違反報告)
セナ(プロフ) - 初コメ失礼します、、、！一難去ってまた一難😭😭パルちゃんとジュンくん、セブチのみんなが幸せになりますように……！更新応援しております🥹🥹 (2022年10月22日 9時) (レス) @page47 id: b2769f16fb (このIDを非表示/違反報告)
てじ(プロフ) - パルちゃん....お話の中だけどステージで輝いてるパルちゃんがもう一度読みたいよお😭どうなってしまうのか🥺 (2022年10月22日 7時) (レス) id: 677831959c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：来栖
| 作成日時：2022年10月1日 17時
