俺達のサジャ XIV

限界 (WN side) ページ25

(WN side)


こんなに頭に血が上ったのは久しぶりだった。

Aがいじめの加害者だと？
ありえない。

何なんだ、あの悪意しか感じられない内容は。



Aはこれまで数え切れないほど批判の的にされてきた。
たしかに、どう足掻こうとも紅一点に批判は付き物だ。

Aもそれをわかっていたからこそ、いつも真摯にカラットに向き合い、着実に信頼を積み重ねてきたんだ。
どんなに批判の矢が刺さろうとも、Aはそこから逃げずに立ち向かった。

それが功を奏して、今ではアンチを大きく上回る圧倒的なファン数を得ている。



どんなに自分の性格を隠そうと思っても、いずれ綻びは出てくる。

もし仮に告発の内容が本当なら、一番長く時を共にしている俺らがAの本性に気づかないはずがない。
意地汚い人間の心は、どんなに隠そうとも必ず人相やちょっとした所作に出るから。



俺たちが紅一点であるAを信頼し、心を開いているのは、Aの心が真っ白で真っ直ぐな人間だから。

いつでもどっしりと構えていて、困っている人は放っておけなくて、人の笑顔が大好きなアイツ。


アイツが優しさと愛に溢れた人間であることを、誰よりもよく知っているから。




WN「……A……」




Aは、俺が絶対に悲しませたくない奴だ。

小さい頃から壮絶な人生を送ってきた分、誰よりも幸せになってほしいし、アイツは幸せにならなきゃいけない。


アイツが俺達とカラットに絶えず注いでくれている無償の愛。

それよりももっと大きな、溢れんばかりの愛に、アイツの人生が包まれてほしい。



ただでさえ今は唯一の肉親を失って、病気も患ってしまったというのに。

これ以上ないほど底なしの闇の中でアイツが苦しんでいるというのに。



Aを陥れて楽しいか？

Aの綺麗な顔に泥を塗って楽しいか？

俺達の大切な仲間を傷つけて、楽しいか？


一体何がしたいんだよ。

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