検索窓
今日:15 hit、昨日:37 hit、合計:117,002 hit

ページ15

……だけど、ミンギュは逃げなかった。




MG「ヌナの手、離してください」




怖気付く様子もなく強い口調で、きっぱりと言い切る。

私に怯えるいつものミンギュとは別人みたいで、私やストーカー男よりもずっと体格のいい彼には鬼気迫るような気迫があった。

私ですら、一瞬気圧されてしまうほどに。



その瞬間、


─── ド ン ッ



HY「あっ……!!」
MG「ヌナ!!」



私を突き飛ばし、男はものすごい勢いでバタバタとトイレから出て行った。

だけど男の方には目もくれず、ミンギュはよろけた私の体をパッと支えてくれる。



MG「ヌナ、大丈夫!?」
HY「……っ、ごめん、」



ドッと冷や汗が吹き出た。

今になって出てきた震えで足と腰に力が入らなくなったけれど、そんな私の体をミンギュがぎゅっと抱きとめてくれる。

びっくりするくらい逞しくて、筋肉質な腕だった。


人に涙を見せるなんて柄じゃないのに、勝手に涙が溢れてくる。

がっしりと私を包み込んでくれる腕に、ずっと張っていた緊張の糸が途切れた。



HY「……ごめん。巻き込んで、ごめんっ……」
MG「なんで謝るの。それより怪我は無い?腕は平気?」
HY「うんっ……」
MG「そっか、よかった。でも痛かったでしょ」



その逞しい体からは想像もつかないくらい、そっと優しく腕を撫でられる。
まるで、痛みを消そうとしてくれているように。


……なんで。




HY「……なんで、助けてくれたの……?」




顔を合わせる度にAを巡って喧嘩ばかり。
私は今までずっと、あんたを目の敵にしてたのに。

なんでそんなに、優しく笑うの…?




MG「……ヌナだって今さ、危ない目に遭ってたのに俺を逃がそうとしてくれたじゃん。助けてって言う前に、俺に逃げろって言ってくれたじゃん」


MG「そういう人だってわかってるから。だったら尚更ヌナを置いて逃げるわけない、助けないわけない。当たり前でしょ」




─── もう大丈夫だよ。


……久しぶりだった。
誰かの言葉に、こんなに安心感を覚えるのは。




MG「ヌナ、帰ろう。俺、家まで送ってくから」




声の代わりにぼろぼろと涙が溢れる今、彼の言葉に必死に頷くことしかできなかった。



No.39 ぶっ飛んだ提案 (HY side)→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (205 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1416人がお気に入り
設定タグ:SEVENTEEN , セブチ , ジョシュア
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

来栖(プロフ) - miyukicheeseさん» miyukicheeseさん、ありがとうございます!とても励みになります😭 更新頻度にムラがあると思いますが頑張りますので、最後まで見守っていただけたら嬉しいです☺️ (2023年3月8日 22時) (レス) id: 3b73c7ec64 (このIDを非表示/違反報告)
miyukicheese(プロフ) - いつも楽しんで読ませていただいてます!続きが、続きが!!とても気になります!お体に気をつけてお過ごしください🍀*゜更新楽しみにしてます! (2023年3月8日 11時) (レス) @page20 id: f1f2a97f56 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:来栖 | 作成日時:2023年2月9日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。