冬の向こう側 IV

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JH「まだ？」
『動きづらいので退きやがれください』
JH「ああ、兄ちゃん泣いちゃうよ」
『あ、どうぞ。外で』
JH「……しょっぱいもの食べ過ぎじゃない？塩分濃度すごいよ」
『通常運転ですけど』



……でもやっぱりスキンシップだけは嫌だ。

麻婆豆腐を煮詰める私にぐでんと寄りかかってくる兄。
カウンターアタックの肘鉄をすんでのところで飲み込んだ。

重い。
暇ならダラダラしてないで手伝ってほしい。
「働かざる者、子豚にすべし」って湯婆婆スタイルの社是を壁に掛けておこうか。



『……あ、電話鳴ってますよ』
JH「お、本当だ。ちょっと待っててね、ウリイップニ〜」



恋人じゃないんだから。
相変わらず距離感がおかしい人だ。

のしかかっていた体重が消え、解放された気分で麻婆豆腐を作っていると。



JH「Aー！シュアもこっち呼んでいいでしょ？ご飯3人分ある？」



電話の相手はジスオッパだったみたい。

作り置きが癖になっているせいで料理はいつも多めに作っているから、急遽人が増えても問題ない。



『うん、あるから大丈夫だよ』
JH「さっすがウリエギ！」
『それやめて』
JH「ってなわけで全然大丈夫だからこっち来なよ、一人で食ったって寂しいだろ〜。うん、はーいよ、じゃあ待ってるから〜」



本当にこの人は、都合のいい耳なんだから…。

今に始まったことじゃないから、今更そこにツッコミを入れたりはしないけど。

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