episode_nine ページ9
トントンとグルッペンは身支度を終わらせ、談話室へ向かう。昨日Aと二人で話していた一人がけのソファに誰かが座っていた。
tn｢あれ…A？｣
｢…ん、トントンか。おはよう。早いな君は…と初めましてグルッぺン君。｣
gr｢何で俺を知って……いやまあそうか。知らないわけが無いよな……君の名前は？｣
眠たそうな目を擦りながらAは答える。
｢Aだ。呼び捨てで構わないよ。｣
gr｢俺も構わん。好きなように呼んでくれ｣
グルッぺンとAはすぐ打ち解けた。
トントンは隣のグルッぺンに｢な？良い奴やろ。｣と耳打ちする。
gr｢ああ…ホントにな。｣
グルッペンはニカッと笑った。
大広間に着くと、人がちらほら居た。
それぞれ朝食を食べている。
gr｢案外人が居ないな。｣
グルッぺンが朝食のトレーを持ちながら席に座る。
Aはその横でオートミールに牛乳をかけながら、もそもそと食べていた。
トントンはその前でベーコンとスクランブルエッグの乗ったパンにかぶりついている。
tn｢え、少な。｣
グルッぺンとAの朝食を指差しながらトントンが驚いたように言った。
｢朝からガッツリした物は食べれないんだ｣
gr｢右に同感だ。｣
tn｢ほーん…昼まで持たんくても知らんぞ｣
｢正直、君の食べっぷりを見るだけで満足さ｣
gr｢右に同感だ。｣
一年生最初の授業は呪文学だった。
しかし、呪文学の教室に行くまでが大変だった。
何しろあまりにも広すぎて何処にいるのか全く持って分からないからだ。
｢あれ、この道…一回来たような気がするんだけど｣
tn｢どこやねん呪文学の教室！！｣
gr｢歩き疲れた……少し休憩させてくれ…｣
tn｢その間に授業始まったらどうすんねん。座ってないでさっさと立たんかい｣
へたり込むグルッペンの腕をトントンが持ち上げる。
グルッぺンは｢疲れたんじゃぁ…｣と呟きながら渋々立ち上がった。
結局、Aがそこら辺を歩いていた上級生に声をかけ、呪文学の教室まで案内してもらった。
三人は何度も頭を下げながら教室の中へと入った。
｢凄いね…あんなの見た事ないよ｣
白を基調とした教室では様々な物が置かれていた。
魔法生物の模型に、独りでに浮かぶチョーク。
沢山の丸テーブルの上には分厚い教科書が乗っている。
gr｢ここに座ろう。｣
グルッぺンが指さしたのは一番端のテーブルだった。
.
続く
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作者名：緑のコウモリさん。 | 作成日時：2023年12月27日 10時
