episode_five ページ5
ザワザワと話し出す声が止まらない。
まだ入学式の途中ですよ、と魔女が一括すると、皆が静かになった。
｢トントン・シュヴァイン。｣
tn｢は、はい！｣
いきなり呼ばれたトントンは少し焦りながら返事をした。
その様子をAがクスクスと口に手を当てて笑う。
トントンはAを小突いた。
そして何人か呼ばれ、Aの番になる。
｢A・ターナー！｣
｢＿＿＿はい。｣
Aは堂々と立つ。
銀髪が揺れ、藍色の瞳が輝く。
ゆっくり座るとトントンに小声で｢なんでそんな堂々と出来んねん｣と言われた。
｢トントンが緊張し過ぎなんだよ。もっと気楽にいこう。｣
新入生全員の名前が呼び終わると、一人の男が席を立った。
｢入学おめでとう君達。アヴェイル学園へようこそ。我々全員が歓迎するよ！僕がここの校長のエルヴィス・コーマックだ。さて…校長の話は長いと嫌われるからな。ウン。禁止事項は"闇の魔術を使うな"以上だ！まあ生活して行くうちに慣れるよ。分からない事は先生達か、上級生に聞いてね。それじゃ、僕からの話は終わりっ！｣
tn｢うっそやろ。投げやりすぎるやろあの人。｣
｢あっはは！面白いねあの校長！｣
校長とは思えない振る舞いに新入生達が困惑していた。
勿論、エルヴィス・コーマックと呼ばれた校長は教頭らしき魔女から盛大に叩かれていた。
その様子をAはケラケラと笑いながら見ていた。
入学式も無事に終わり、寮を上級生に案内してもらっていた。
tn｢それにしても広…何もかもがでかく見えるな｣
｢ホント感心するよ。アヴェイルは。全部が初めて見るものだ。｣
楽しそうに笑うAを見てトントンも釣られて笑う。
階段を数回登ると、上級生が止まる。
｢ここが入口だよ。着いてきて。｣
大きな扉を開け、中に入るとそこは広い談話室だった。
フカフカしたクッションが置いてあるソファに暖かそうな暖炉。高そうな絨毯は様々な模様が施されている。
｢君たちの談話室さ。一年おきに変わるって訳じゃないんだ。六年間共にする談話室になる。大切に使うんだ。｣
口を揃えてはい、と言う新入生に上級生は苦笑しながらも説明をした。
｢二つ階段があるだろう。向かって左が男子寮、向かって右が女子寮さ。男子寮と女子寮それぞれ四部屋ずつあるんだ。自分がどの部屋か名前が書いてあるから後で確認しておくように。｣
新入生はワクワクした声を隠しきれずに、はいっ！と返事をした。
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作者名：緑のコウモリさん。 | 作成日時：2023年12月27日 10時
