episode_three ページ3
目を覚ますと、そこは___路地裏だった。
ああ、捨てられたんや。俺。
悲しくもなかった。
あの家の空気より路地裏の腐った匂いの方がマシや。
ゴミ捨て場のような所に捨てられていた。
見たことも無いこの場所で生きようとも思わなかった。
「ははっ___。」
乾いた笑い声も、消えていくだけ。
その時だった。
俺が身体を起こすと、一人の男と目が合う。
真っ黒な目。
無性に脳に焼き付いた。
男は目を逸らすとそのまま歩き出した。
まあ当たり前か。
いかにも訳ありみたいなガキ一人関わり合いたくないわな。
もうどうにでもなれ、と俺は目をつぶった。
腹ら辺に痛みが走る。
驚いて飛び起きると、さっきの男が目の前にいた。
煙草を口にしていて、辺りが煙たい
「ああ、すまん。あんまり起きなかったもんで強くやりすぎた。」
思ってもない目で言われる。
呆気に取られていると男がニヤリと笑った。
「あ、お前___捨てられたろ。」
なんて事聞くんだコイツは。
頭おかしいやろ。
「んで?実際の所どうなんだ?やっぱ捨てられたか。」
「……お前に関係あらへん。」
吐き捨てるようにそう言うと、男は煙を吐いた。
「可愛くねーガキだな。お前、行く宛ては?」
「……あるわけないやろ。」
「だろーな。」
腹を抱えて笑うコイツを殴り飛ばしてやりたかった。
「お前、名前は」
「……教えん。知った所でどうするんや。」
「さあ?しーらね。」
そう言うと男は紙袋を差し出した。
「流石に捨てられたクソガキ無視できるほど落ちてねぇんでな。」
紙袋はパンが入っていた。
「お前……何がしたいんや」
「だから無視できるほど落ちてねぇから同情してやってんだ。」
にひっと笑うこの男。
何笑っとんねん。
情けなんかいらん。
俺は、
俺は、
死にたいだけ。
「同情なんか要らん……俺に関わんなクズ。」
俺は男を睨みつけた。
「お前みたいな男、心底嫌いやわ」
「なあ、クソガキ___」
頭が痛い。
もう、疲れた
頼むからもう
「楽に、してや______」
遠ざかる意識の中、男は目を見開いていた。
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杏。(プロフ) - 設定も話の進行もすんごく好きです 更新頑張って下さい (8月26日 14時) (レス) @page5 id: efc02aac0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とある緑の生徒。 | 作成日時:2023年8月12日 22時