story１２ ページ13
『ん、ぁっ……』
目が覚めると、加州くんを運んだ自室に寝ていた。
腹部の痛みに顔を顰めながらも何とか上半身を起こすと、膝に濡れた布が落ちた。
誰かが、僕を看病してくれていたようだ。
こんのすけ……はここまで出来る体じゃない。と言うと、ここに居る大人、または子供の
人間の行動となる訳だけど……まさか。
そう言えば着ている服もちがう。白い、昔の人の寝間着みたいな、薄いもの。
グラグラする頭を抑え、ゆっくりと部屋を見渡すと、低い机の上には書類が重なっていた。
ここに来て、僕が荷物を置いた時とあまり変わらない。
清光「あぁ、起きたんだ。……具合は、どうなの」
空いた襖から顔を出したのは、加州くんだった。
無表情のまま、けれど少し怯えながら水の入った桶を手にこちらに近付いてくる。
彼は、人間に対して恐怖や憎悪を感じていないのだろうか。
『ありがとう、加州くん。僕の面倒を見ててくれたんでしょう？』
清光「……別に。」
また黙り込んだ彼を見つめていると、指先の赤に目がついた。
加州くんは身なりを気にするお洒落さん？？
『……あれ、そう言えば加州くん、怪我してなかった？？動けてるなら、治ってるみたいだけど……』
清光「ッッ」
その話題を出した途端、加州くんの肩が大きく跳ねた。
すると、机の上に桶を置いて、僕の目をまっすぐ見つめた。
…………射抜くような視線。まるで狩人のように、けれど怯える野犬のようだ。
清光「アンタは、ここの新しい審神者……、俺たちの主。なんだよね。
あんたは、…………俺たちを道具として、折れても別の物に取り替えれば済む、道具だと思うの」
きっとそれは、前任の価値観。
彼は、古参だと言っていた。もしかしたら、自分がみんなを守らなくちゃと、思っているのかもしれない。
加州くんもまた、大切な家族を守ろうとしたんだ。
下を向く彼に、僕は言った。
『……おいで、加州くん。来て。』
そう言うと、大人しく僕の隣に来た。きっとすぐ来ないと手をあげられていたんだろう。
つくづく気に入らない男だ、あの前任は。
『僕はね、ここのみんなを家族だと思ってる。』
清光「え……？」
『例え、殺気をぶつけられても、斬ると脅されても、本気で腹を切られても……。
審神者と刀剣は、同等の関係にはならない。普通はね？
だけど、そんなの勝手だ。ここは僕の本丸だろう？だったら僕の好きにする権利がある。』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 640人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梶屋 - 一番面白いとこで更新止まってる…………和睦の道はないのでしょうか。 (2018年8月24日 8時) (携帯から) (
レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
きつつき！(プロフ) - ロワです。さん» 同じですね！今後そう言った場面を入れていきたいと思っていますので楽しみに待って頂ければと思います！ (2017年3月18日 23時) (レス) id: e777c39756 (このIDを非表示/違反報告)
ロワです。 - 私も抹茶やチーズ好きで、きのこ嫌いですよ〜！！ (2017年3月18日 19時) (レス) id: 8d6b86ff12 (このIDを非表示/違反報告)
きつつき！(プロフ) - コメントありがとうございます！抹茶いいですよね……夢主くんと同じものが好きということは私と一緒((( がんばって更新しますのでどうぞよろしくです！ (2017年3月6日 6時) (レス) id: e777c39756 (このIDを非表示/違反報告)
ヒビキ(プロフ) - 面白いです。夢主君の台詞が滅茶苦茶カッコイイ！きつつき！殿抹茶好きですか！僕も抹茶、大好きなんです！好きなものが一緒で、頬が緩んでしまいました(笑)次回楽しみにしています！ (2017年3月6日 0時) (レス) id: 9ddb2aed53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きつつき！ | 作成日時：2017年2月13日 22時
