記録係7【アンナチュラル 】

さらりとした ページ23

※オリジナル

高田は無事逮捕され
私たちはもう一度部屋の中へ。

『はい、メス没収。』

中「結果的にAを守れたんだ。
それでいいだろ…」

項垂れる系さんを横目に
蒼波さんと坂本さんを見る。

蒼「坂本さん、先ほどはありがとうございました」

坂「い、いえ！あの、僕邪魔しちゃったとか
あの、勝手な行動をして申し訳なか…」

その時、蒼波さんは
大粒の涙を流し始め
ぶんぶんと頭を勢いよく横に振る。

蒼「あの時…坂本さんが
犯人にこれをぶつけてくれなかったら
私は死んでました…ほんと…ありがとう…
でも、坂本さんの大事なムーミンが…」

『これって…』

坂本さんの大事な大事なムーミンのツボ押し。
投げた拍子に傷が、ついてしまったようだ

坂「あの…もしよろしければ
一緒に新しいのを買いに行きませんか？」

蒼「え！？」

坂「これ、とっても効くんです！
蒼波さんもお一ついかがですか？」

『わ！デートのお誘いだ！
坂本さん、かっこいいー！』

さらりとお誘いした坂本さんが
とってもかっこよく思えてしまった。
なんとスマートなん…

『あだっ！』

中「…」

系さんに殴られた。
それも、グーだ。ひどい。

中「…あいつらの邪魔になるだろ…行くぞ」

『へえ。系さんもきちんと空気読むんだね。』

中「俺はいつでも読んでるつもりだが。」

『え…』

中「なんだ。」

…本気だ、この人。
あれで空気読んでるなんて嘘でしょ
でも、今日は許してあげよう。

『なんでもない。
確かに二人にしてあげたほうがいいね。
毛利さんが来るまで隣の部屋で待機しよ。』

中「ああ。」

あの二人、あれでお付き合いしてないなんて
ほんと嘘みたい。

部屋に入ればしんと静まりかえる。
さっきまでの殺伐とした雰囲気はない。

『系さん、あそこ見て観覧車ー！』

窓の外を覗けばライトアップされた
大きな観覧車が遠くで光っている。
というか、もうこんな時間だったのね。

中「ああ、そうだな。」

『すごーい！あそこはなんの建物かな？』

中「A。」

『ん？どしたの？』

中「今度、あの観覧車に乗りに行くか」

…今なんと

中「聞こえなかったか？」

『あ…いやその聞こえました』

中「返事は」

『えっと、ぜひ』

中「どんな返事だ」

そう言って隣で笑う系さんを直視できなかった。
だから急なお誘いは心臓に悪いって…
さらっと言えちゃうのとかかっこよすぎでしょ。

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