記録係5【アンナチュラル 】

お礼 ページ47

※オリジナル

中堂さん視点

ずっとくすくす笑いながら
飯の支度をするAを見て
恥ずかしくなる。

がっついた挙句、腹の音が鳴るなんて。
情けなくて飯を黙々と食うことしかできなかった。
その間も、Aは買い物のことや
今日のUDIについて聞いてくるが、
…悪いが、今は返せそうにない。

『あ、そうだ、系さん。ちょっと待ってて』

パタパタと奥の部屋へ行くA。
…どうしたんだろうか。

『おまたせ。…あ！やっと顔見てくれた！』

ニコニコとするAに
また可愛いと本音が漏れそうになる。
調子にのるからそれはダメだ。

『この前の桜の栞のお礼っ！』
この黒猫が系さんに見えちゃって！』

淡い水色の栞の下にぶすっとした顔の
黒猫の刺繍がしてある栞だった。

中「これが、俺に似てんのか。」

おい、どういう事だ。Aには
こんなにしかめっ面に見えてんのか。

『そうだよー？いっつもぶすーっとして、
もっと笑いなさいっ！って意味も
込めてありますのでっ！…なんてね』

中「いつも、笑ってるだろ」

『えー。本当にー？』

と唇を尖らせるAが面白くて、
口角が上がる。

『それ！』

という、言葉とともにカシャっという
音が鳴る。おい待て俺に何故スマホを向ける。

『いただきました！！』

中「おい！待て！消せっ！」

『系さんだって、私を盗撮して
楽しんでるんでしょー？
夕子から聞いたの！また系さんの
ロック画面変わったって！』

中「あいつ…！！！」

クソが！！いつ見たんだ！

『だから、私も系さんにしちゃ…あ！そうだ。』

ピタッと止まるA。
何思いついたんだ。やな予感しかしない。

『二人で撮ろうよ！』

中「はあ！？ふざけんな！」

『ほら、近く寄った寄った！』

ぎゅーっと肩をつけるとスマホを構える。
…こちらも良い事を思いついた。

『ふふふ…やっと観念したなー！
じゃあ、撮るよー！』

と、言った瞬間に
Aの頭を掴みキスをする。

『んっ…ちょっ…け、いさ…』

スマホが手から離れるまで、深く深く。
…案の定ぽろっと落ちるスマホを片手で取り、
そのまま先程の写真を消す。これでよし。

『…はっ…け、いさんひどい…』

中「ほら、念願のツーショットだ。」

ちょうど口をつけた瞬間。

『ああああ！！』

中「栞と写真ありがとな。」

くくくっと笑うと
『系さんのばかー！！！』と
背中を何度も何度も
たたかれたのは言うまでもない。

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