記録係5【アンナチュラル 】

着れないよ ページ45

※オリジナル

結局あの後、系さんは「もう少し寝てろ」と
私に頭から無理矢理毛布を被せてきた。
系さんの顔が見えないって！！！

中「…そろそろ時間だ。A、行ってくる。」

顔が真っ赤だったし、フラフラだったし
大丈夫なのかと不安で
『今日仕事代わろうか？』と聞いてみれば
「…大丈夫だ。」
と仕事の支度をする系さん。

私をぎゅっと抱きしめてもう一度「行ってくる」と
笑いながらキスをして出て行く系さんに
キュンとする。

行ってらっしゃいと返せばくしゃくしゃと
頭をなで、また笑顔になって出て行く系さん。

ふふふ…幸せだ。
さっきの不安はどこへやら。
なんと単純な私。
幸せな気持ちのまま
ぎゅーっと系さんのパーカーを抱きしめる。

パーカーか…私も服が欲しいな。
『…そうだ、今日は買い物に出てみよう。』


____
近くのショッピングモールに行けば
「A？」

お洒落なお店から、私の名前を呼ぶ声。
振り向けば高校の同級生が。

『早苗？』

「やだー！やっぱAだ！」

『久しぶり！変わんないね！』

きゃー！っと騒ぐと、周りから
じろりと見られる。申し訳ございません。

「何？買い物？」

『うん。久しぶりに服でも買おうと思って。
早苗、もしかしてここの店員？』

よし、ここはプロに選んでもらおう。
…私は正直ファッションセンスはない。

「よしっ！うちのブランドで
Aをもーっと可愛くするんだから！
店長に任せんさいっ！」

ニコニコと笑う早苗に驚く。
その若さで店員か。すごい！

『店長！？すごっ！』

「ふっふっふー！頑張ったのよー！
…さて、どこに着てくの？
…あ、デートだ。こんな可愛くなって。」

デート…！そういうつもりじゃ
無かったけど…！
系さんに可愛いって言われたら嬉しい。

「うっそ…！その反応マジなの！？
じゃあ、とびっきり可愛くしなきゃっ！」

ガチャガチャと服を探し出す早苗。
ばばばっと見繕えるのは本当にプロの技。

「青のストライプの
サーキュラースカートでシンプルで
きれいめな着こなし。
清潔感溢れるパステルイエローの
女性らしいブラウスを合わせて、
きちんと感だけでなく
柔らかい雰囲気も兼ね備えました。」

『こんな可愛いの着れないよ』

「何言ってんの！あんた
昔っからパンツスタイルでもったいないの！
ほら買えっ！買ってしまえっ！」

結局、早苗に押されて買ってしまった。
こんなの恥ずかしくて着れないよ。

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