記録係5【アンナチュラル 】

のまれた ページ44

※オリジナル

中堂さん視点

結局、俺はあの後眠れず
Aが寝てる部屋を行ったり来たりする。

酒に飲まれた奴がやったことだ。
気にするな。我慢しろ。
…大切にするって決めた。
酒の勢いでなんて絶対にしない。

しかし、ニコニコと眠る
Aを見ると愛おしくて仕方なくなる。

違うことを考えなくては。
そうだ、今日はゴミの日だ。
頭を冷やすためにも外に出るか。

Aを起こさないように
ゴミをまとめて外に出る。
ゴミ捨て場はすぐそこだが、きちんと鍵をかける。

中「冷えるな…」

春と言えど朝はまだ冷える。
頭を冷やすのにもちょうどいいだろう。
…と、外を散歩したのは間違いだった。

部屋に戻ろうとすると
Aの泣く声が中から聞こえる。
何があった…！

急いでドアをあければ
ぼろぼろと部屋の真ん中で泣くA。

中「お、おい！Aどうした…！？
何があった！」

『よかったぁぁ…系さん…
出て行っちゃったかと思った…
私、普段酔わないけど
お酒に酔うと大変な事になるって
よく友達に言われてて…
私…系さんに何か嫌われるような事
しちゃったんだって…、』

中「…そ、それは…」

昨晩のAの唇の柔らかな感触を
思い出し、顔に熱が集まる。
…クソっ…思い出さないようにしてたのに…！


『何したか分かんないのに
謝るのもおかしいってわかってる。
でも…ごめん。ごめんなさいっ！
…だから居なくならないで系さん！』

中「A、顔上げろ。」

顔を見て話したいが
顔を上げろと言うも、全く顔をあげようとしない。

中「はあ…仕方ねぇな。」

ぐっ！と顔を掴んで
無理矢理こちらに顔を向ける。

中「…A、こっち向け。」

ぼろぼろと泣くAを見て
こんなに泣いてるのに愛おしくなっている
自分に呆れてしまう。

『系さん…？』

中「大丈夫だ。お前を嫌いになんて
なってないし、これからもなることはない。
約束する。だから泣くな。」

『…うぅ…ごめん…ごめんなさい。』

中「だぁぁあ！！クソっ！」

謝るのは俺のほうだ。
なのに、何故Aが謝る。
俺は謝罪なんか欲しくない。
そう思ってAにキスをする。

中「そこはごめんじゃねえだろ。」

『うん…ありがとう…
私も…私も系さん大好きっ！
嫌いになんてならない。ずっと！』

そこまで言えと言ってない。

中「分かった…分かったから
その、一旦離れろ。」

キョトンとして俺を見るA。
やめろ、頼むから、見ないでくれ。

着れないよ→←どこ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す