記録係3【アンナチュラル 】

読み聞かせ ページ45

※オリジナル

美優ちゃんは
大きなバックの中に
お絵描き道具と絵本をたくさん詰め込んでいた。

『美優ちゃん、絵本好きなの？』

美「みゆね、たんたいになったから
ひらがなのおべんきょうしたいの。
だから、ごほんよんでおべんきょうするの」

『なるほどね。偉いなあ』

私が3歳の頃…外でめっちゃ遊んでたな。
お勉強の「お」の字も出てない。
3歳の私、しっかりしろ。

美「でも、あきちゃった…」

『じゃあ、お姉ちゃんが好きな
絵本読んであげるね。』

バックの中から取り出したのは
お姉ちゃんの絵本。茶色いことり。
いつもお守りがわりに持ち歩いている。

ミコトが「あ…」と気付いてこちらを見る。
中堂さんも目を丸くしてこちらを見る。

美「よんで！よんで！」

『じゃあ、ソファに座ろうか。』

ソファに座りながら絵本を読む。
途中途中で「これはなんてよむの？」
「これはみゆの「み」！」と
美優ちゃんの質問や知識が入ってくる。

お姉ちゃん、まさか
3歳児のお勉強に使われるなんて
思ってなかっただろうな。

美「とりたんがにひき！」

『数も分かるのー？偉いねー！』

ニコニコと読んでいると
中堂さんがどかっと隣に座る。
え、どうしたの。
静かに読めとかそういう…？

中「2匹じゃねえ。ここにもいる。」

ページの隅っこに隠れている鳥を
指差してぶっきらぼうに言う中堂さん。

『あ、ほんとだ。』

美「ほんとだ！ぱぱありがとう！」

中「パパじゃねえ」

そう言いながらも、顔は笑っている。
嬉しいよね。お姉ちゃんの本を
楽しく読んでもらって。

『嬉しいくせに。』

中「うるせえ。Aも読んでやるなら
もう一回きちんと見とけ」

『そうだね。きちんと見とかないと。』

ふふふっと笑うと
目をこすりはじめる美優ちゃん。

『眠くなっちゃったね。お昼寝しようか。』

美「みゆは…もっとおべんきょうしなきゃ…
だ…だめなの。えらくならな…いと」

『え…』

すると、毛布を持った夕子が

夕「美優ちゃんね、お勉強をたくさんしたら
頭を休ませてあげないといけないの。
ほら、見てあそこのお兄さんも寝てる」

と、突然指をさされた六郎くんが
慌てて寝たふりをする。

夕「そうしないと、お勉強した事が
ぜーんぶ消えちゃうの！だから寝よ？」

すると、「おやすみなたい」と言い
美優ちゃんはゆっくりと目を閉じた。

勉強→←ぱぱ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す