記録係3【アンナチュラル 】

マイク ページ41

※オリジナル

『はい、UDIラボ』

後ろのご機嫌斜めでふくれっ面の
中堂さんは放っておいて電話に出る。
しかし、相手は何も言わない。

『もしもーし？すみません
何も聞こえなくて…』

耳を澄ますと小さな息遣いが聞こえる。
どうしたんだろ？

『大丈夫ですか？
どうしたんですか？』

「Aちゃん、大丈夫？」

『え…なんで私の名前』

突然出てきた私の名前。
誰かな…男の人だけど六郎くんではない。

「嫌だったよね。
でもね、Aちゃんは可愛いから
誰だって襲いたくもなるよ」

…バッと周りを見る。
まさか、このボタンの持ち主。

中「おい、Aどうした」

異変に気付いた中堂さんが寄ってくる。
どうしよう…

スマホは所長室。警察は呼べない。
中堂さんに言っても
きっと犯人には見られているから
逃げられてしまう。

中「A、用件の無い電話なら
切っちまえばいい。…続きするぞ」

『しません！』

中「それよりさっきから
スマホが鳴ってるぞ…俺が出てやる」

え？全然気づかなかった。

『ちょ…勝手に…！』

すると、しーっと人差し指を
口に当てる中堂さん。
違う…何か考えてるんだ。

「酷いね。勝手に出るなんて。
全く困ったもんだね。」

『どこで見てるんですか…。』

「残念ながら、見れてないんだ。
中堂さんが我慢できない可愛い
Aちゃん見たいのに。」

ふふっと笑う声がする。
見えてない！音だけだ！

『見えてないんですね』

と、呟くと中堂さんが
ホワイトボードにマイクにしろと書き始める。

「ほんと残念。」

と言ったタイミングでマイクにする。
その瞬間中堂さんは私のスマホを操作した。

『なにが目的なんですか？
私の郵便物取って、盗聴器仕掛けて
やめてください、迷惑です！』

「やだなあ。守ってあげてるのに。
郵便物の中にはね、ダイレクトメールや
君に必要のない郵便物もある。
それにね、この下着？襲って欲しいの？
ふふ…かーわいいAちゃん」

それ、マイクで言って欲しくなかった…
それ夕子に買えって脅されたやつ…。
よりによってそれ取ってったの。
それを聞いてガタッと反応した中堂さん。
はい、大人しく座っといてください。

『とにかく、迷惑です。
これはストーカーです。
部屋にもどう入ったんですか！？』

「ひーみーつー」

なんなんだこの人
一言一言むかつくなあ。

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