記録係3【アンナチュラル 】

ロープ ページ22

ミ「血腫の色が煉瓦色でなく暗赤色…」

隣のミコトから聞こえた言葉に
みんな固まる。
暗赤色ってことは…まさか

夕「え…」

ミ「燃焼血腫ではなく、静脈洞の破綻による
急性硬膜外血腫…。」

六「それってつまり…」

『焼死する前に後頭部を殴られた可能性が
あるってこと…？』


坂「殺人…？」

『あの、私毛利さんに連絡してくる！』

ミ「A、お願い。」

___
『毛利さん！』

急いで連絡をすると、珍しく嫌そうな声。
いつも明るく電話に出てくれるのに…

『お忙しい…ですよね…。
そんな時に大変申し訳ないのですが…』

はあ…とため息まで聞こえる。
そんなに疲れてる時に見つけちゃって
『ごめんなさい』

毛「Aちゃんが悪いわけではないから…
その様子だと、何か出ちゃったってことだよね」

『すみません…UDIに来てください…』

毛「これが、仕事だ。すぐ行くよ」

『ありがとうございます』

____

疲れ切った毛利さんと向島さんにコーヒーを出す。
「ありがとう」と力無く笑ってミコトの説明を
聞く体制になる。

ミ「9番さんの後頭部の骨折は、
棒状の鈍器によって
殴られた可能性があります。
しかし、これが致命傷というわけではなく
直接的な死因は火災による焼死です。」

向「じゃあ、殴られて火をつけて殺された」

毛「それじゃあ、事件になっちゃうだろ！」

バシッと向島さんを叩く毛利さん。

『暴力はダメですよ。…大丈夫ですか？』

向島さんに声をかけると
「大丈夫、ありがとう」と笑っている。

『あと、不自然な点がもう一つあったんです。
9番さんは仰向けに寝ていたせいで
後頭部含め背中側の一部が焼け残ってたんですが
腰の部分に皮下出血を見つけました。』

夕「で、遺体発見時の写真を見てみると
酸化した紐のようなものが見える。」

『9番さん、ロープで縛られてたんじゃ
ないでしょうか？皮下出血が残るほどきつく』

すると、ラボの電話が鳴る
『私とりますね！』と出れば
神倉さんだった。どこにいるのかな？

神「Aちゃん、ちょっと良い？
お茶の準備して欲しいんだけど」

『はい、だれかお客様ですか？』

神「そうそう。だからお湯沸かして」

誰だろ…今日そんな予定あったかな？
まあいいや、あっという間にすぐに沸くし。
湯のみとお手拭きを用意する。

神「いらっしゃいました。帝日大の久部先生です。」

『久部って…』

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