記録係2【アンナチュラル 】

生きる ページ38

ミ「...あなたの人生は､あなたのものだよ？｣

ミコトさんが
彼と話してるのを聞きながら
走って何かないか探す。

ライブ配信が終了したらしく
学校側の音声しか聴こえなくなったしまった。
早くしないと…！

＿＿＿

何かないかと探していると
草むらの中にあるものが目に入った｡


『これ！ボール入れ！
倉庫にあったやつと同じだよ！！』

倉庫にあった黄色のボール入れ。
この近くに白井くんがいるはず。

六｢あの窓！｣


六郎くんが指さした方向には
電気が通ってないはずの部屋に
明かりがついていた。

裏に走り
素手で窓を割り
鍵を開けて強引に部屋に乗り込むと...

怯えた表情の白井くんが
ナイフを自分の首元に当てた

『まって！！』

中｢俺たちは三澄先生の仲間だ｡｣


そのまま中堂さんは
白井くんと同じ目線になり
ナイフを離すよう説得する。

夕子さんと六郎くんも入ってきた｡


白井｢横山は死んだ｣

中｢あぁ｡｣


白井｢僕だけが､生きてていいのかな...？｣


中｢死んだ奴は答えちゃくれない､この先も。
...許されるように 生きろ｡｣

それは中堂さんがそうなんでしょ。
そのまま中堂さんが､ナイフを手放させ
手を握ると白井くんは声を上げて泣いた｡


『白井くん｡君が横山くんにしてたことは
決して無駄だったわけじゃないと思う。
君が一緒にいて、隣にいてくれて
横山くんすっごく嬉しかったと思う。

助けられなかったなんて言わないで。
君が横山くんと一緒にいた時間全てが
彼にとって生きてて楽しい時間だったんだ。
白井くんはずっと助けてたんだよ。

その楽しさと嬉しさを上回るほどの
辛さや痛みがあったんだ。
決して白井くんは悪くない。
いじめられてる現場を見て
助けられる人なんてごく僅かだよ。
実際大人も助けてくれなかったよね。』


横山くんを見ると夕子さんが
ラボの白衣をそっとかけている。

『横山くんも白井くんも辛いよね。
ずっとずっと頑張ったよね。
すぐに気づく事ができない大人を
許してなんて言わない。忘れろなんて言わない。
白井くんは
友達のためにここまでできる優しい子なんだ。
だから君は…酷い大人にならないで。』

ぎゅっと白井くんを抱きしめる。
また大声をあげて彼は泣き始めた。
私も一緒に大声をあげて泣いた。

私は何も成長してない。
この子と一緒だ。
まだまだ私は子供だ。

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