真ん中【MIU404】

かもかも。 ページ27

開けた瞬間、車が少し前へ行ってしまった。


伊吹「Aちゃん、どう？」

『流石に分かんなかったです…ごめんなさい』

もう少し早く気づけば良かった。
車が動き出せば周りの音もこちらのエンジン音もあり流石に分からない。

すると無線にある情報が入る。

【警視庁から各局、品川区西森で発生した殺人事件の容疑者が現場から逃走】

志摩「近いな…」

【容疑者は28歳、男性。黄緑のジャンパーにジーパン、痩せ型、凶器を所持している模様】

伊吹「前の車」

志摩「…は？」

伊吹「あ、ダメだ、逃げられる」

前の車をじっと見てアクセルを踏む伊吹先輩。

『わ！ちょっと待ってください！赤っ！』

サイドブレーキをかけると「何すんだよー。Aちゃんー」とムッとされた。

志摩「赤だ」

伊吹「逃げられちゃうだろ！」

志摩「前がつまってる平気だ。…で、あの車がどうした」

伊吹「容疑者が乗ってる」

志摩「は？」

伊吹「さっき一瞬おばちゃんのフード掴んだ腕が見えた。袖の色は黄緑で逃げ出した容疑者と着衣が一致！」

志摩「待て待て待て、見たのは袖だけ？」

伊吹「だけ」

志摩「一瞬？」

伊吹「一瞬だけ見えた」

志摩「袖だけ？」

伊吹「もう何ぃ！？メロンパンの次は袖袖魔人かよ」

どんな魔人だろうか。
想像すると手がびろびろと伸びた
気色悪いモンスターが頭の中に出てきた。

志摩「黄緑の服着た奴が都内に何人いると思ってんだ。一瞬見た袖だけの色で容疑者が乗ってるなんて誰が信じるんだ！」

伊吹「様子が可笑しかったの！おばちゃんも運転してたおっさんも、まじで！」

志摩「袖だけだろ？」

伊吹「だけ！」

志摩「埒があかない！…Aはどう思う？」

『先程少し気になったのは、車に乗っていた女性の呼吸が浅いように見えたんです。だから何かおかしいなって…窓を開けてもらえれば呼吸音で何人いるか分かったんですけど…。』


志摩「Aがそういうなら…走る、人質監 禁立て篭り？」

伊吹「Aちゃんが言えばすぐに信じるんだねえ」

そんな伊吹先輩を無視して志摩さんが無線を取った。

志摩「機捜404から1機捜本部。こちら志摩です。隊長をお願いします、どうぞ」

桔梗「こちら1機捜本部桔梗です。どうぞ」

志摩「西森の殺しの現場から逃走した容疑者が乗っているかもしれない車両を見つけたかもしれないと言っている奴が隣にいます」

伊吹「かもかもだけど」

『かもかもですみません…』

ふんわり。→←まるごと。

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