真ん中【MIU404】

信じる。 ページ14

私が言いたかったことをさらりと言うが
やはり誰も信じてはくれてない様子。
九重さんもやれやれと呆れていた。

陣馬「別人だったらどうするんだ」

伊吹「俺の耳は正しい。」

陣馬「あのなぁ…」

志摩「緊急配備までして間違いだったじゃ済まないんだよ！俺たち警察は権力を持ってるからこそ慎重に捜査しなければならない。その為の規則だ、その為の捜査手続きだ。奥多摩の交番から来た素人が野生の勘だけでしゃしゃってんじゃねぇよ…俺までマウント取っちゃったじゃないか！！」

ガンっ！とゴミ箱を勢いよく蹴飛ばす志摩さん。
とんでもなく大きな音がしたこともあるけれど、志摩さんがそんなことするのかとびっくりしてしまった。
後ろにいた九重さんが「大丈夫ですか？」と声をかけてくれる。

『ありがとうございます。大丈夫です。ちょっとびっくりしただけですから』

九重「さて、落ち着いたようですね。…さっきから彼女がずっと何か言いたい様子だったんですが。2人とも気づいていましたか。」

九重さんが少しの隙も見逃さず、2人に言ってくれる。

『うう…ありがとうございます。』

九重「いえ、何か手がかりになるものがあるなら自分も聞きたいですから。」

志摩「ごめん、A。」

『いいよ。大丈夫。』

志摩「いや、そうだよ。こいつがエンジン音って行った時Aに聞けばよかったんだ…何やってんだよ俺…いらんマウント取って…」

座り込んで頭を抱え始める志摩さんの頭をポンポンとする。いつもやってもらってるから。安心して、落ち着いて。

伊吹「…。」

『皆さんに伝えるの忘れてたんですけど、私とっても耳が良いんです…信じてもらえるか分からないけど。』

そんな簡単には信じてもらえないことは重々承知だ。
今まで何度経験して…

陣馬「あー、それでさっき聞こえたのか。謎が解けたな。」

九重「なるほど…。なら自分は信じます」

伊吹「じゃあ、Aちゃんもエンジン音気づいたの！？一緒でしょ！？一緒！」

『え…。』

こんなにすぐに信じる人たちは初めてだった。
なんで会ってすぐなのに…

志摩「…で、Aが言いたいのはそれだけ？」

いた。初めてではない。
志摩さんもすぐに信じてくれた。
…昔の志摩さんは。

『わ、私も！エンジン音一緒だと思います！』

伊吹「よし！何だかテンション上がってきたぁ！」

志摩「だが、今の状況で緊急配備は無理」

伊吹「じゃあどうする？」

不祥事。→←偽物。

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