あなたにピントを合わせたい (ページ26)

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ゆ「 Aさん…… 」

「ん？？」

ゆ「彼らに心開いてますね」

言われてみればそうかもしれない

そもそも人物を撮ることが嫌いで

尚且つ、必要以上に話さなかった

それが、今や、

自分の膝の上に他人を乗せられるし

お腹に腕を回すことだって無意識にできていた

ゆ「＇彼らだから＇っていうのが

いちばんの理由だと思いますよ、私は」

ゆいちゃんはなんだか嬉しそうな顔をしていた

「そうかもしれないね、

ところでゆいちゃんはなんでそんな嬉しそうなの？」

ゆ「大好きなAさんが笑っていてくれることが

私の幸せだから、彼らには感謝の気持ちでいっぱいなんです。

Aさんの笑顔をこんなにも見せてくれるから」

ポタッと左目から一粒の涙が流れた

そのあとに続いてポタポタと流れてくる涙

ゆいちゃんがそんな風に思ってくれていたことが

嬉しくて仕方がなかった

流れた涙はサングラスを通り抜け、

マスクの隙間を通って口元あたりにやってきた

濡れていることが気持ち悪くて

サングラスとマスクを外して自分の服の袖で拭いた

それと同時に一方方向から感じる鋭い視線

永「 ………！」

あっと、

やってしまった…

ゆいちゃんと2人きりな気分だった

急いでサングラスとマスクをつけたけど

もう遅かったみたい

廉くんはこっちを見たままそろりそろりと近づいてきた

永「 Aちゃん… 」

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