#過去 ページ19
宏太side
トントン…
ドアをノックする音が聞こえてふと顔を上げると侑李が入ってきた。
「どうしたの？そんな顔して。」
答えられるわけがない、そう思って、仕事のことだから大丈夫だよって作り笑いをしたけれど侑李はお見通しだった。
「りょうちゃん15歳になったからみんなでお祝いしようよ、今日は昨日と違って晴れているんだから」
侑李は笑って言った。
僕は言葉が出なかった。
侑李は思考回路が止まった僕に近づいてうさぎのぬいぐるみを手に取ると僕には何も言わずにうさぎのぬいぐるみを持って部屋を出て行った。
今思うと侑李は僕が涼介の誕生日プレゼントとして用意したものだとすぐ分かったみたいだった。
でも僕は侑李が何をしに行ったのかも考えられずただただ涼介と侑李に悪い思いばかりさせてしまったことへの苦しみに耐えられずベッドに突っ伏して声を殺しながら泣き続けた。
あれから何分経ったのだろうか。
腕時計が12時になったことを伝えるアラームが鳴るとハッと我に帰り、決まった時間にご飯を食べなきゃいけない涼介にご飯を食べさせるためにベッドから降りた。
朝よりもずっと気持ちが複雑になって、気まずい顔をしながら部屋を出るとリビングから小さな声が聞こえた。
「うさぎちゃんはもう寂しくないよ、りょうちゃんの隣に居られるんだからね。」
気づけば僕の目は涙で溢れていた。
終わり
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りせ - お気に入りのお話です！続きが気になります… (2020年7月5日 17時) (
レス) id: 34756f7837 (このIDを非表示/違反報告)
にぃな - とても面白いです！続き楽しみにしてます！ (2020年4月25日 3時) (レス) id: 0e464bd2c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんず | 作成日時：2020年4月4日 23時
