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クルミxノxタクラミ ページ3

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「...へー、クル姉が、ね......」
「だからね、私は要注意人物だと思うの。」

13歳の誕生日の翌日の夜、私は静かに屋敷を出た。息を切らしながら、ひたすら南へ走った。あたり一面真っ暗で、頼りになったのは線路だけであった。グラニュー糖をまぶしたような満天の星空の下、ただ必死に走った。
お金は事前に取った飛行船のチケットで使い切ってしまい、軽食を買える程度しか残っていなかった。外で私の味方をする者などいない。お金はない、だが殺人術には長けていた子供の私ができること。それは隣国でハンターライセンスを取得し、その足でどこかへ逃げることだった。

ハンター試験に無事合格し、ライセンスを手に入れた。あのときの喜びは一生忘れられないだろう。他の兄弟と違って褒められることの滅多になかった私が、その中で一番先にライセンスを手にしたのだ。そして何より、殺しはもうしなくてもいいのだ。この上なく有頂天だった。だから、後を追ってくる気配には気づかなかったのだ...

空港の入り口にはクルミが待ち構えていた。私は驚いた。そして、静かな笑みからは、怒りが感じ取れた。私が動揺していると、クルミはその場で指を鳴らした。慌てて逃げようとしたが、クルミの合図で一斉に飛び出してきた執事たちに取り押さえられた。抵抗する私の首元へクルミが手刀を放ち、一瞬にして私は眠ってしまい、次に気が付いたのは自室のベッドの上だ。

クルミは家族想いだ。だからゾルディックを裏切ろうとした私のことを許せなかったのだろう。そして、これだけのことを企てた私にはきつい罰が待っていたのは言うまでもない。が、まさかクルミに拷問をされるとは思ってもいなかった。クルミはいつもニコニコしているが、そのときだけは違った。冷たい鉄鞭を、不気味なくらい一定のリズムで打ち付けてきたときの顔は、まるで魂がぽっかり抜けてしまったかのようだった。幼いころから暴力に耐え続け、痛覚が麻痺していた私は、まさかこんなに単調な鞭打ちで苦しむとは。4時間にもわたったその鞭打ちで味わった苦痛は、今でも心に深く刻まれている。

「私はキルが逃げ出したくなる気持ちは十分分かる。それに家業を継ぐかどうかは、外の世界で色々なことを経験してから考えても遅くないし。もし帰りたくなっても居場所はちゃんとあるから、安心して行っておいでよ!」
「ねーちゃん...ありがとう.........!」
「早速、作戦を練ろう。」

--こうして、キルの家出大作戦は動き出した。

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マニ。(プロフ) - ✉️。こんにちは、とても面白いです。もしよろしければボードとかで会話したいのですがよろしいですか?お返事お待ちして居ます。💝 (11月16日 16時) (レス) id: d7c4d06b1b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ワセリンファン | 作成日時:2023年11月16日 0時

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