推し恋〜波瀾万丈恋物語2 (ページ9)

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桜舞う季節1 ページ9

そして4月になった。どこもかしこも桜が咲き乱れ、人々はお花見に勤しんでいる。と言ってもコロナ前ならレジャーシートを敷いて宴会なんかやっていたんだろうが、今は桜の木々を見ながら歩くスタイルに変わっていった。

「桜きれいだな。」
「そうだね。」
この日はお互い仕事が休みだったので桜並木を歩いてみた。
「思い出すな。桜吹雪・・・。」
みさがぽつりと呟く。

「いつまでもーそばにいるよって♫誓ったけどお別れしよう♫なんて歌ってたの去年だっけか？なんか懐かしい〜。」
みさがBye Bye Showを口ずさみながら言う。
「あの頃は清掃員とアイドルだったもんな。アイドル人生お疲れ様！」
俺が今更ながらに労う。
「ふふっ、ありがとう。桜・・・きれいだね。」
「そうだなー。本物の桜吹雪の中でBye Bye Show歌ってみてくださいよ。」
「えー無理！お金ちょうだい？」
みさがウィンクしながら俺に向かって手を伸ばしてくる。
「えっ、何で？」
「BiSHの曲は1人じゃ歌えないんだけど、どうしてもっていうなら1曲につき300円かなぁ？」
そう言って無邪気に微笑むみさ。

いやいや、前のカラオケで歌ってくれたオーケストラは何だったんじゃーい？(笑)まぁ、あれは俺の歌い方がなってなかったらしく訂正の意味も込めて歌ってくれてんだけどさ。

「わかったよ。じゃあ、300円な。」
俺がお金を払うと、みさは嬉しそうに財布を出してお金を入れて、カバンにしまった。

BGMまで歌ってくれてダンスも完璧に！！

「いつぅーまでもーそばにいるよって♫」

みさの声で1から全部のBye Bye Showとは恐れ入る。しかも2番に入り"トゲトゲの〜"の自分のパートまで

俺は感極まって涙が出てしまった。

ちょうど人があまり通っていなかったのもあり、全力で歌って踊ってくれたのが嬉しかったから。

「ちょっとぉーなんでAが泣いてんのー？」
歌い終わり、みさがケラケラ笑う。
「なんか感動しちゃってさ。やっぱBiSHは偉大だっだなーと思ってさ。」
俺がポーチからハンカチを出して涙を拭う。
「この後、どこいくぅ？」
嬉しそうにみさが俺に聞く。
「そうだなー。ランチでも食べに行かない？」
「いいね。じゃあ、私が今まで食べた中で美味しかったジャンルの店に行こうよ！今日やってるか調べとくね。」
そう言ってみさはスマートフォンを取り出して検索画面を出した。
「うん、やってるみたいだよ。」
「よし、じゃあ行くか！」
いつの間にか笑顔になった俺もつられる。
さぁ、行こう！