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第2話 ページ4

庭に出ると、お茶の用意がされていたが、人影はなかった。


「イザナどの、お付きの方は……」

「下がらせたよ。Aも話しにくいだろう?」

「……ありがとうございます」


イザナどのは私の椅子を引いてくださり、私が座ったのを見ると自分も席へとつかれた。


「どうだい、A。クラリネスの生活には馴れたかい?」

「はい、大分。……今日も、お昼前までハルカ侯爵に国政の話を聞いていたんですよ」

「そうか。馴染めているようで何よりだよ」


そう言ってイザナどのは微笑んだ。


「今日は昼食に間に合わなくて悪かったね。王位継承式の手配などがあってね」

「いえ、気にしないでください。昼食はリアが付き合ってくれましたし……」

「ああ、君専属になった女中か。……A、君はクラリネスに付き人は連れてこなかった様だが、よかったのか?」

「はい、いいんです。……どうせ、アルベールには私と深い関わりを持つ者はいませんでしたから」

「そうか……悪かったね、昔の話をして」

「いえ、いいんですよ」


そう言うと私はイザナどのに差し出されたお茶を受け取り、一口飲んだ。


「ん……美味しい……ですね。あまり苦くないです」

「ああ、甘みの強いお茶にしてみたんだ。……お気に召したかな?」

「はい……このお茶は、好きです」


私が笑うと、イザナどのは少し驚いた顔をした。


「Aは、笑うとそんな顔をするんだね」

「えっ?」

「いや、初めて会った時からAはあまり笑顔を見せてくれなかったからね」

「そう……でしたか?」

「気づいてなかったか」

「す、すみません……」


なんだか恥ずかしくなって俯く。


「おや、その顔も初めてだね」

「へっ!?あ、っと……うぅ」


今まで、男の人とこういった話をしたことがなく、どうしたらいいのか分からなくて思わず顔を覆ってしまう。


「おやおや、虐めてしまったかな。すまない、A」

「ぅ、い、いえ、大丈夫です……」


そっと顔を上げると、申し訳なさそうに眉を少し下げたイザナどのが居て、それに私も申し訳なく思ってしまう。


「あ、そういえばA」

「はっはい、何でしょうか……」

「俺のことはイザナでよいと言っていたはずだが?」

「すみません……不慣れなもので……もう少し、待っていただけませんか……?」

「はははっ、別に、無理にとは言わないさ。……好きなように呼ぶといい」


好きなように。


たったそれだけの言葉が、何故か温かく感じた。

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ゆきな☆(プロフ) - 更新頑張ってください!楽しみに待ってます! (2020年4月20日 20時) (レス) id: eaaa1b941d (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 音織さん» 更新が遅くなって申し訳ないです。ゆっくり更新ですが、頑張りますのでよろしくお願いします。 (2018年8月30日 21時) (レス) id: c51862496b (このIDを非表示/違反報告)
音織(プロフ) - 初めて!音織です!いつも読ませて頂いてます!久しぶり更新嬉しかったです!無理せず更新頑張って下さい! (2018年8月30日 1時) (レス) id: 7413fe4c64 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - 天泣tenkyuさん» 文章を褒めていただけて、すごく嬉しいです!ありがとうございます。更新頑張ります(^^*) (2018年1月11日 17時) (レス) id: 1b7b0b02d0 (このIDを非表示/違反報告)
天泣tenkyu(プロフ) - 文章などが凄く好みで楽しく読ませていただいています!無理なく更新がんばってください(´ω` ) (2018年1月10日 22時) (レス) id: 6a5dbc60dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くるみ | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年12月3日 15時

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