第112話 ページ9
朝食の後、使用人さんに呼ばれて向かった先は、一昨日の夜に夕食を食べた部屋だった
部屋の前に着くと使用人さんは何も言わずに一礼し、去って行った
何故此処に案内されたのか、中に誰が居るのか、何も聞かされないままだったが、このまま私たちも立ち去る訳にはいかず、ノックして開けてみる
｢失礼、します……｣
｢A様、どうぞこちらへ｣
｢……クロード……さん？｣
促されるままに席につく
しかし、昨日の事もあったから何かして来るだろうとは思っていたのだが、こんな形とは思いもしなかった
｢ええと……何の御用でしょうか｣
｢A様、気づいているのでしょう？私の事を｣
思わず目を逸らしてしまう
“気づいている”
はい、とも、いいえ、とも言えずにただ口を結び、下を向く私にクロードさんはゆっくりと話し出した
｢私は故郷を裏切った。そして、愛する者までも……自分の愚かさで殺してしまったんです｣
何も、言葉が出なかった
何を言えばいいのか分からず、私はクロードさんを見つめた
｢A様。貴女のお母さんは……葉月は、とても優しく、綺麗な人でしたね｣
葉月……それは母様の名前だ
やはり、クロードさんは母様を知っているのだ
｢A様、貴女は葉月によく似ている。その黒い目も、青い髪も、優しい顔も｣
クロードさんは悲しそうに、懐かしむように言葉を紡ぐ
｢クロードさん、教えてください。貴方は母様と……母と、どんな関係だったんですか｣
｢……私は貴女のお母さんと幼い頃からの友人でした。私も森で生まれましたから。
私は彼女のことを好いていたが、彼女は違った。……でも、それはいいんです。
私は彼女が幸せで居てくれたら、私はそれで良かったから｣
｢……では何故、裏切ったのですか？｣
クロードさんは一瞬、苦い顔をした
｢彼女を、自由にしてやりたかったんです。森の外に憧れていた彼女を｣
｢家を継ぐ者を……ですか｣
｢はい。それに長の家系は、誰も外に出てはならない。
長が居ないと、森は枯れてしまいますから｣
｢……そうだったんですね。……私は、何も知らないんです。
森の事も、長の使命も、全然知らない｣
｢……それを、貴女が気に病む必要は無いのですよ、A様。全て、私が悪いのですから。
愛する者を助けたくて、愛する者を死に追いやっただなんて、私は……っ！｣
クロードさんの目には涙が浮かんでいた
この人は、母を、私を殺す気は無いのだと、それだけは感じた
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ななき(プロフ) - 続きが気になり死にそうです！よろしくお願いします！まじで大好きです！ (2022年7月8日 17時) (
レス) @page21 id: ea7be47ac2 (このIDを非表示/違反報告)
ぺこぱ(プロフ) - じっくりと読ませていただきました。これからの展開がとても気になります！！お忙しいとは思いますが、更新お待ちしています！！ (2020年9月16日 5時) (レス) id: 7095aaaef1 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - あざかさん» ありがとうございます。長い間の更新停止、すみませんでした。続きも楽しんでいただけるよう、精一杯書かせていただきます！ (2018年8月29日 22時) (レス) id: cda1da55b6 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - ヒロネコさん» 更新が遅くなり、本当に申し訳ないです。今日からまた、ゆっくりと再会していきますので、お楽しみいただければ幸いです。 (2018年8月29日 22時) (レス) id: cda1da55b6 (このIDを非表示/違反報告)
あざか(プロフ) - すごく面白いです！！！続き、楽しみに待ってます！頑張ってください！！ (2018年5月6日 3時) (レス) id: b72f39f2a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くるみ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年8月21日 18時
